揺さぶられ症候群ってなに?どれくらいの揺さぶりが危険?揺さぶったらどうなるの?
2017/05/09
揺さぶられ症候群、または揺さぶられっこ症候群という言葉を聞いたことはありますか?赤ちゃんが激しく揺さぶられることによって様々な症状を起こしてしまうことを言います。
でも、どれくらい揺さぶったら危険なのかなかなか判断が付きにくいと思います。普段赤ちゃんと接している中で、「高い高いをしたら喜んだ」「パパがあやしているとき、大きく体が揺れているけど大丈夫かな?」と心配になることはありませんか?
身体を動かす遊びやあやし方は、子供が喜ぶ一方で、揺さぶられ症候群になってしまう可能性も潜んでいます。揺さぶられ症候群な心配なままの為に、今回は揺さぶられ症候群について詳しく紹介していきます。
このページの目次
揺さぶられ症候群とは?
揺さぶられ症候群とは、赤ちゃんが激しく揺さぶられることで起こる頭部の損傷です。赤ちゃんの頃首の筋肉が未発達な上、脳と頭蓋骨の間にわずかな隙間ある状態です。大人のように頭部がしっかりと固定されている状態ではありません。
そんな赤ちゃんの頭を思いっきり揺さぶると、脳が頭蓋骨の中で何度も打ち付けらることになり、損傷を起こしてしまいます。この、損傷を起こしてしまった状態を揺さぶられ症候群、または揺さぶられっこ症候群と呼ばれています。
「症候群」というのは、様々な症状を引き起こすという意味を持っています。つまり、揺さぶられるという行動によって、脳のどの部分が損傷するかによってどんな症状が出るかどうかは様々であり、最悪の場合は死に至るケースもあるのです。
参考文献:社団法人 日本小児科学会 赤ちゃんを揺さぶらないで
どれくらい揺さぶったら危険?
1.「これくらい揺さぶったら危険」という定義はない
厳密に、赤ちゃんをこれぐらい揺さぶったら危険という揺さぶりの定義はありません。なぜなら、揺さぶられ症候群になるかどうかは、「どれくらい揺さぶったか」ではなく「赤ちゃんの脳が損傷を受けたかどうか」にかかわってくるからです。
例えば、1回ガクッと揺らしただけでも、頭部が損傷してしまえば揺さぶられ症候群になる可能性があります。逆に、何度も揺さぶったとしても、頭部を守るように身体だけ揺さぶられていれば、頭部の損傷が起きない可能性もあります。
そのため、揺さぶられ症候群になる揺さぶり方の強さに明確な定義はありません。
2.危険な揺さぶりの目安は、頭がガクンと揺れるかどうか
「これくらい揺さぶったら危険」という定義はないと言いましたが、目安はあります。赤ちゃんは首の筋肉がまだ未発達な上に、頭が身体に比べて大きいですよね。
そのため、赤ちゃんが、以下のような状態になることは避けるようにしましょう。
明らかに危険な揺さぶり方
- 首がムチのようにしなって頭がガクンガクンと揺れるほどの揺さぶり
- 激しい「高い高い」
赤ちゃんは、まだ首の筋肉が弱いため大人が思っているよりも、頭の重みでガクンガクンと揺れてしまいます。昔は一般的だった「高い高い」も、今では揺さぶられ症候群になる可能性があるとして注意勧告がされていますので気を付けましょう。
参考文献:社団法人 日本小児科学会 赤ちゃんを揺さぶらないで
参考文献:「揺さぶられっ子症候群」と保育:乳幼児保育に関わる人々の認識度(第1報)
どんな症状や後遺症が出る?
揺さぶられ症候群になると、赤ちゃんにどんな症状がみられるか、直後と予後に関して以下にまとめましたので知っておきましょう。
1.揺さぶられた直後の症状
まずは、赤ちゃんが揺さぶられた直後にどのような症状が出るのか紹介します。あくまでも一例でこれに限らない場合もありますが、赤ちゃんのSOSを見逃さないよう、代表例を知っておきましょう。
揺さぶられ症候群になった直後の症状
- 元気がなくなる
- 機嫌が悪い
- けいれんを起こす
- 意識がなくなる
- 呼吸困難
- 昏睡状態
これらの症状が代表的に挙げられています。強く揺さぶってしまったり、何かの拍子で頭部に衝撃を与えてしまい、このような症状が出た場合は至急、医師に相談するようにしましょう。
参考文献:社団法人 日本小児科学会 赤ちゃんを揺さぶらないで
2.揺さぶられ症候群になった後の後遺症例
揺さぶられ症候群は、揺さぶられた直後からけいれんしたり昏睡状態になりそのまま死んでしまうケースも少なくありません。万が一、命が助かっても以下のような後遺症の可能性があるといわれています。
揺さぶられ症候群の後遺症
- 脳出血による様々な後遺症
- 失明や視力障害
- 言語障害
- 学習障害
- 知的障害
- 脳性まひ
これらは、あくまでも代表的なもののみを抜粋しています。例えば大人であっても、脳出血になった患者さんがどのような後遺症が出るかは、脳のどの部分を損傷したのかによって変わるため人それぞれですよね。
それと同じように、揺さぶられっこ症候群に関しても、どのような後遺症が出るかは赤ちゃんそれぞれに異なります。
参考文献:社団法人 日本小児科学会 赤ちゃんを揺さぶらないで
揺さぶられ症候群の防止策は?
揺さぶられ症候群が起こるほどの揺さぶりが起こる原因として、多く報告されているのが「ついカッとなってしまった」「イライラしてやってしまった」という周りの大人の突発的な怒りです。
どれだけあやしても赤ちゃんが泣き止まない、毎晩毎晩泣き続けていて眠れない…そんな状態が続いて、ついイライラしてしまうママやパパも少なくはないのでしょうか。
そんな時に、怒りをこらえきれず「どうして泣き止んでくれないの!」と揺さぶってしまうことが原因として取り上げられています。ママやパパがカッとして赤ちゃんを揺さぶってしまわないよう、心にゆとりを持つことが一番大切です。
ママやパパが心にゆとりを持つ方法
- 赤ちゃんは泣くものだとある程度割り切る
- どうしてもイライラしたら、赤ちゃんを安全な場所に置き、少しの時間だけ違う部屋に行き落ち着く
- 誰か相談できる人に話を聞いてもらう
- 行政のサポートなどで相談して話を聞いてもらう
- ストレスの発散方法を自分なりに見つける
昔から「赤ちゃんは泣くのが仕事だ」といわれてきたほど、赤ちゃんは泣くものです。また、泣きのピークといわれる生後1~2ヶ月ごろの場合は、何をしても本当に泣き止まない時期があるともいわれています。
泣き止まないからといって母親・父親失格でも何でもありません。上手にストレスを発散させながら、赤ちゃんの泣きと向き合っていけるようにしていきましょう。
参考文献:厚生労働省 広報啓発DVD(赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの対処と理解のために~)
何歳ごろまで注意が必要?
揺さぶられ症候群という視点から見て、何歳までは注意が必要かどうかということについては、以下のように言われています。
激しく揺さぶることを避けるべきとする目安はしっかり歩けるようになる1歳半頃と言われている
これはあくまでも目安であり、2歳になっても幼児の時期を超えても、頭が揺れるほど激しく体を揺さぶる行為は良い行為とは言えませんね。あくまでも、揺さぶられ症候群という視点での時期の目安です。
このような行動をとらなくていいように、日ごろから対策をしていきましょう。
赤ちゃんの身体に合わせたかかわり方を心がけよう!
いかがでしょうか?揺さぶられ症候群は、子供が喜ぶからとあやしているときでも、その度合いによっては起こってしまう可能性があるということが分かっていただけたかと思います。
また、発生原因の多くである「ついカッとなってしまった」という大人の衝動的な行動も、その一瞬の過ちが赤ちゃんの一生を狂わせてしまう怖いものです。
そうなることのないように、日ごろからストレスをため込むことのないように、自分なりのストレス発散方法を探してみましょう。パートナーやご両親、地域の方に助けを求めることも決して悪いことではありません。
ママもパパも人間ですから、たまには思う存分ストレス発散をして、楽しく育児できるようにしましょう。