赤ちゃんはいつからうつぶせ寝させてもいいの?厚労省が定めるたった1つの条件とは
2019/02/15
すやすやと寝ている赤ちゃんは微笑ましいものですが、うつぶせで寝ているのを見るとちょっと心配になってしまいませんか?「赤ちゃんをうつぶせで寝かせてはいけない」と聞いたことのある人も多いことでしょう。
実際のところ、赤ちゃんをうつぶせで寝かせると、どのような危険があるのでしょうか。また、赤ちゃんは絶対に仰向けで寝かせないといけないのでしょうか?なかなか悩みが尽きない赤ちゃんの睡眠事情ですが、今回はうつぶせ寝についてまとめました。
このページの目次
赤ちゃんのうつぶせ寝は危険?
画像出典元:http://www.webmd.com/parenting/baby/ss/slideshow-baby-skin-care
窒息する恐れがあります
赤ちゃんがうつぶせで寝ているときに最も心配なのは、窒息です。うつぶせの状態で柔らかい布団に寝ていると、顔が布団に埋まってしまう危険性があります。そのため、市販のベビー用敷布団は堅めのマットレスになっています。
ただし、堅い布団だからと言って安心はできません。赤ちゃんを寝かせている場所をよく見てください。枕のかわりにタオルを敷いていたり、吐き戻しで寝具を汚さないようにと枕元にガーゼハンカチを置いていたりしていませんか?
そのタオルやガーゼによって、口や鼻がふさがってしまうことがあるのです。他にも、ベッドにぬいぐるみなどのおもちゃを置いている場合も危険です。また、何もなくてもシーツが口に入ってしまって窒息する、ということも考えられます。
特に低月齢の赤ちゃんは、自分で体の向きを変えることができなかったり、手を自由に動かすことが難しいものです。そのため、苦しくなってもそれを取り除くことができないのです。
乳幼児突然死症候群のリスクが高まる?
また、うつぶせ寝によって乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まるという説があります。
SIDSは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気で、窒息などの事故とは異なります。平成27年度には96名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第3位となっています。
SIDSは1歳未満の赤ちゃんにみられます。原因は分かっていませんが、研究によってSIDSを予防する方法は確立されてきています。そのうちの一つが、赤ちゃんをうつぶせではなく仰向けで寝かせるということです。
SIDSの予防方法
- うつぶせではなく、仰向けで寝かせる
- できるだけ母乳で育てる
- 赤ちゃんの周りで喫煙しない
- 服を着せすぎない
SIDSとうつぶせ寝の関係については以下のような報告もなされています。
SIDSはほとんどの場合睡眠中に起こります。特に、うつ伏せで寝かされていた赤ちゃんにSIDSの発症頻度が高いことが疫学調査で明らかにされました。うつぶせ寝と突然死発症のメカニズムの関係は明らかではありませんが、欧米では仰向け寝を推奨するキャンペーンによってSIDSの発生率が減ったという報告もあり、何らかの関連はあることは疑う余地はありません。
このような研究結果が出され、うつぶせ寝はSIDSのリスクを高めるとして、問題視されるようになってきました。ただし、うつぶせ寝がSIDSの直接の原因であるわけではありません。
うつぶせ寝にメリットはある?
画像出典元:https://jp.pinterest.com/carriejeanmundy/photography-6-month/
危険もあるうつぶせ寝ですが、デメリットばかりではありません。うつぶせで寝ることは、赤ちゃんにとって良い効果ももたらすのです。
赤ちゃんはうつぶせ寝が落ち着く
うつぶせで寝ると肺が体の下側になるため、呼吸が落ち着くようになります。また、体の布団が触れている面積が大きくなることや、うつぶせで手足を折り曲げた状態が胎児のときの様子に近いことから、赤ちゃんがゆったりした気持ちになれます。
そのため、夜もぐっすり眠ることでき、夜泣きが少なくなります。さらに、うつぶせ寝にはゲップを出しやすくしたり、赤ちゃんが吐きにくくなる効果もあります。これは、胃の入り口が背中側にあるため、うつぶせで寝るとそちらが上になり、空気の通り道ができるからです。
うつぶせ寝は身体の発達を促す
うつぶせで寝ることは赤ちゃんの体の発達にも役立ちます。うつぶせの姿勢をとることで首や背中の筋肉が鍛えられ、首すわりを助けたり、寝返りが早くできるようになったりします。うつぶせの状態で手足を動かすと、ハイハイの練習にもなります。
また、仰向けでばかり寝ていると、赤ちゃんの頭は柔らかいので布団についている部分が平らになってしまうことがあります。上手にうつぶせ寝を取り入れることで、赤ちゃんの頭の形をきれいに整えることができます。
うつぶせ寝のメリット
- 呼吸が落ち着く
- 夜泣きが少なくなる
- ゲップが出やすくなる
- 吐き戻すことが少なくなる
- 首や背中の筋肉が発達しやすい
- 頭の形がきれいになる
うつぶせで寝てもいいのはいつから?
画像出典元:http://epilepsyu.com/blog/category/family-and-friends/
では、いつからならうつぶせで寝てもいいのでしょうか。結論から言いますと、赤ちゃんの成長は個人差が大きいので、「〇ヶ月になっていれば大丈夫!」ということは言えません。ただし一つの目安として、うつぶせから仰向けへと戻る『寝返りがえり』が完璧にできるようになっている、ということが挙げられます。
これができるようになっていると、うつぶせで寝ていても赤ちゃんが自分で体の向きを変えることができ、窒息の危険性が低くなります。また、厚労省は以下のように定めています
(1) 1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう。 SIDSは、うつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、寝かせる時にうつぶせに寝かせたときの方がSIDSの発生率が高いということが研究者の調査からわかっています。医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。この取組は、睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。 出典元 乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省
1歳を超えてSIDSを発症することは非常に稀とも言われています。
うつぶせで寝かせる目安
- 寝返りがえりが完璧になった
- 1歳になった
しかし、これらの条件を満たしているからといっても、うつぶせで寝ている赤ちゃんをずっと一人にしておくのは危険が伴います。特にうつぶせ寝を始めてから1ヶ月くらいは、ちょくちょく様子を見に行って顔の向きを変えたり、呼吸の確認を必ずしましょう。
うつぶせで寝かせるときに気をつけること
画像出典元:http://www.livescience.com/35011-having-a-dog-may-help-allergy-prone-infants.html
必ず見守りましょう
うつぶせ寝の目安として寝返りがえりができることを挙げましたが、それよりも低月齢の赤ちゃんがうつぶせで寝ていることもあります。赤ちゃんによっては、仰向けよりもうつぶせの姿勢の方が好きな子というのがいて、仰向けで寝かせても気が付くと横を向いていたり、顔が布団に触れていたりするものです。
うつぶせで寝ている我が子にびっくりすることもありますが、そのとき慌てて仰向けに戻さなくても大丈夫。鼻と口がふさがらないように顔の向きを調節したら、そのまま寝かせてあげていいんですよ。先に挙げたうつぶせ寝の目安は、うつぶせで一人で寝かせる目安だからです。
ただし、その場合は必ずそばで見守っていてください。そして、たとえトイレに行くだけだとしても、赤ちゃんから離れるときはそっと仰向けに戻すようにしましょう。
寝る場所の環境を整えましょう
うつぶせで寝かせるときは寝る場所を整えることもとても大切です。布団は堅めのものを用意し、柔らかい枕も使わないようにしましょう。赤ちゃんの枕はフェイスタオルを四つ折りにしたもので十分に代用可能です。
寝室だけでなく、お昼寝のときも堅めの座布団に寝かせるなどの対策を取ります。そして、布団の周りにはできるだけものを置かないことです。まだ動けないから、と思っていても、赤ちゃんは突然新しいことができるようになります。
油断せず、睡眠の環境を見直してください。
うつぶせ寝の注意点
- 鼻と口がふさがれないよう、頭を横に向ける
- 短時間でもそばを離れるときは、仰向けに戻す
- 敷き布団は堅めのものを用意する(お昼寝のときも)
- 枕は使わない
- ガーゼやぬいぐるみなどを近くに置きっぱなしにしない
まとめ
赤ちゃんのうつぶせ寝は良くないことのように言われることが多いですが、メリットもたくさんあります。赤ちゃんが落ち着いたり夜泣きが少なくなったりすると、育児疲れも軽減されます。上手にうつぶせ寝を取り入れてみてはどうでしょうか。
大切なのは、寝ている赤ちゃんを一人きりにしないこと。赤ちゃんの睡眠時間はママの休憩時間でもありますが、赤ちゃんの安全は必ず見守りましょう。