栄養たっぷり・使いやすさ抜群、さつまいもの楽チン離乳食をご紹介
2018/01/08
ほくほく甘いさつまいもは、おかずにもお菓子にもなる万能野菜ですね。上手く火を入れれば甘さをより引きだすこともできます。自然の甘味は赤ちゃんの離乳食でも大活躍しますよ。
離乳食は月齢や進み方で食材の固さや大きさに気を配ってあげなければなりません。さつまいもはマッシュしてもよし、サイコロ型にも切りやすく扱いやすい食材ですね。
今回は離乳食の時期別にポイントをおさえながら、さつまいもの活用レシピをご紹介します。日頃の家族の食卓にも転用できるアイディアもありますよ。
栄養や保存方法といった基本情報も紹介しますので、さつまいもをおいしく上手に取り入れて下さいね。
このページの目次
さつまいもってどんなお野菜?
さつまいもの栄養素
- でんぷん
- ビタミンC
- ビタミンB1
- ビタミンB6
- カロテン
- 食物繊維
主成分はでんぷんです。加熱によって一部が糖質に変化し甘味が増します。主食代わりにもなり、カロリーは米や小麦の1/3。さらに抗酸化作用が高いビタミンE、免疫力を高めてくれるビタミンCを含みます。このビタミンCは加熱にも強い優れもの。
オレンジ色の濃い品種では、他の緑黄色野菜をしのぐほどのカロテンもふくみます。ねっとりとした食感に濃厚な甘さが人気の『安納芋』はオレンジ色の果肉の代表で、特にカロテンも豊富です。
またさつまいもと言えば『食物繊維』。切った時にでてくる白い液(樹脂の一種)は腸の動きを促進する働きがあるので、食物繊維と相乗効果でお腹をキレイにしてくれます。
さつまいもは、栄養面ではリンゴの5倍以上のビタミンCを含み、また熱に強いビタミンCで加熱しても多くは残ります。食物繊維も豊富で、便秘の解消にも効果的です。時間をかけて加熱すると、デンプン分解酵素アミラーゼが麦芽糖を生成する働きをするので甘みが増します
おいしい時期とおいしいお芋の選び方
おいしい時期
収穫時期は9月~11月で秋が旬ではありますが、実はおいしい時期は1月~2月頃。さつまいもは収穫直後より少し貯蔵して熟成させるとでんぷんが糖質に変化し甘味が増しておいしくなります。
おいしい芋の選び方
- 皮の色が均一
- ずっしり重く凸凹が少ない
- ラグビーボールの様に真ん中がふっくらした形
- 切り口に茶色っぽい蜜がついている(糖度が高いと染み出て固まっている)
さつまいもの上手な保存方法
掘ってきたものなどを家で保存する時は、半日ほど乾かして1つ1つ新聞紙にくるみます。上に通気口をあけた段ボールや発泡スチロールの箱にいれておくのが良いです。寒いのは苦手な野菜です。
陽の当たらない廊下や床下収納などの温度変化が少ない冷暗所(13~15度)が程良いですね。傷があったり水分がついていると傷みやすいです。うまく保存すれば3月頃までおいしく頂けますよ。
離乳食の時期別下ごしらえポイント
離乳食 初期(5~6カ月頃)
この頃は栄養を摂るための食事というより、ごっくんと飲み込む練習をしている時期です。のどごしのよいペーストを作ることに気を配りましょう。
下ごしらえポイント
- 皮を厚めにむき、1cm程度の輪切りにする。水にさらしてアクぬき(10分程さらす。あまりに白く濁った場合は水を変える)
- しっかりゆでて潰し、裏ごしする ※ゆで方は最後に紹介します
さつまいもは繊維質が多くアクの強い食材です。皮を厚めにむいてあげることでアクもおさえられ、ゆでた後ペーストにしやすいです。
さつまいものアクは害虫から実を守るために含まれているもので、摂取しても問題はありません。皮の周囲に栄養があることからキレイに洗って、皮ごと食べたいところですがアクのえぐみは離乳食には不向きです。
ただ、皮を厚くむくのは大変ですよね。私はきれいに洗って細い根を除いたさつまいもを丸ごと1本持って、包丁よりピーラーを使いむくようにしています。
凸凹した芋類をピーラーでむく時はピーラーの下側の刃を芋にしっかり固定して動かせば比較的むきやすいです。ただ厚くはむけませんので、2重3重に実の部分もむくようにしています。
むきながら黒く変色してくる部分はアクの影響によるものなので、黒っぽくなっている部分は特に気をつけてピーラーを当てるようにするといいですよ。
離乳食 中期(7~8カ月頃)
食べられる食材が増え、ごっくんが上手な子はプリン位の固さのものであればもぐもぐして舌でつぶせるようになります(モグモグ期)
下ごしらえポイント
- 皮を厚めにむき、1cm程度の輪切りにする。水にさらしてアクぬき(10分程さらす。あまりに白く濁った場合は水を変える)
- しっかりゆで、スプーンなどで潰す※ゆで方は最後に紹介します
もぐもぐが上手になってくる時期ですが、舌触りが悪いと出してしまうこともあります。初期同様厚めに皮をむいてあげましょう。ペーストの固さを調整しやすいのもさつまいもの良いところですね。
離乳食 後期~完了期(9カ月~)
指で潰せる程度の固さの食材を噛んで食べるようになる時期(カミカミ期)に入ってきます。12カ月頃からは離乳食を卒業するパクパク期に移行していきます。
下ごしらえポイント
- 皮を厚めにむき、1cm程度の輪切りにする。水にさらしてアクぬき(10分程さらす。あまりに白く濁った場合は水を変える)
- ゆでたものを小さな角切り(3~5mm)にする
- 完了期に向かうにつれ角切りを5mm~1cm位に調整
- スプーンなどで潰す ※ゆで方は最後に紹介します
初期同様アクをしっかりぬいてゆでたものをサイコロ状に角切りしてみましょう。噛む楽しさが味わえるといいですね。食べる意欲のある子であればつかみ食べを始める頃でもあります。
ざっくりマッシュしたさつまいもは丸めたり棒状にしたり成形もしやすいですからつかみ食べにはもってこいです。マッシュしたものもストックしておくといいですね。
下ごしらえしたさつまいもの保存
ペーストも、角切りも、その前段階の輪切りでゆでたものも冷凍保存が可能です。冷蔵庫でも保存できますが翌日には消費したいので、まとめて冷凍が楽チンでおすすめです。
製氷皿(蓋つきが良い)や保存バックにいれて小分けしておくと使いやすいです。小分けの量は大さじ1~2が目安。冷凍したものは1週間を目安に使い切りましょう。使う時は必ず再加熱します。
レンジで温めたり、凍ったまま他の食材と調理すれば楽チンですね。
さつまいものゆで方・蒸し方
お鍋でゆでる
厚めに皮をむいて輪切りしアク抜きしたものを鍋に入れ、ひたひたの水を入れてゆでる(20分位)竹串などでゆで加減をチェックし、ザルにあげ常温で冷ます。
※少し放置しておくことでほくほく感がでます。
レンジを使って蒸す
厚めに皮をむいて輪切りし、アク抜きしたものを耐熱皿に入れる。軽く水が残った状態でラップをかけてチン。(100g位だと500wで約2分) ※お芋の大きさや耐熱皿の形状にもよるので時間は調整してくださいね。
離乳食初期 さつまいもメニュー
基本のさつまいもペースト
- 下ごしらえしたさつまいもをしっかり裏ごしする。
- 100g位の芋に大さじ4程の湯を加えて伸ばす。
離乳食を開始して間がない時はポタポタ垂れる位の固さ、少し慣れたら湯の量を調節しドロドロ位のペーストにする。
さつまいもペーストアレンジ(風味編)
さつまいもの裏ごしを伸ばす水分をアレンジします。湯で伸ばすのとは違った風味で同じさつまいもペーストでも変化ができますよ。
- だし汁
- 粉ミルク
- 果汁(ミカンやりんごなど)
- 野菜スープ(野菜スープを多めにするとポタージュスープのアレンジも可能です)
さつまいもペーストアレンジ(混ぜ込み編)
ほんのり甘いさつまいもペーストはどんな食材とも合わせやすいです。離乳食の進み方に合わせて様々な食材と和えたり、混ぜてアレンジします。
- お粥のトッピングにする(パン粥にもよく合います)
- りんごをゆでて潰したものと混ぜる(混ぜたままで冷凍保存OK)
- お豆腐と白身魚と混ぜる(お豆腐の水分で芋も柔らかくなり、魚のパサつきもカバーできます)
パパママ アレンジ
離乳食分をよけて余ってしまったさつまいものマッシュに少しグラニュー糖とレモン汁を加えて練りながら加熱すれば、簡単さつまいもジャムになります。トーストにつけるとおいしいですよ。
さつまいもの量によりますが、さつまいもの20%位の砂糖にレモン汁少々でOK。甘味の強い芋の場合はお好みで加減してください。
離乳食中期 さつまいもメニュー
基本のさつまいもマッシュ
- 下ごしらえしたさつまいもをフォークなどで潰す
中期に入ってもぐもぐすることが上手になってきたら、少しあらいマッシュで大丈夫。みじん切りの野菜も使えますが、ゆでたさつまいもはみじん切りしにくいのでマッシュがおすすめです。
食事の回数も増えるので、多めに作って冷凍し使いまわすのが楽チンポイントです。
スイートポテトサラダ
- さつまいもマッシュと柔らかくゆでたにんじんのみじん切りを和える。(目安はそれぞれ小さじ1~2)
- ヨーグルト(無糖)を小さじ1程かける
※人参の他にブロッコリーもいろどりがキレイで混ぜ込みやすい野菜です。ヨーグルトをのぞけば混ぜ込んだ状態で冷凍保存OK。
さつまいもと葉物のお粥
- 7倍粥…大さじ3
- さつまいもマッシュ…大さじ1
- だし汁…大さじ1
- ほうれん草やキャベツなどの葉物を細かく刻んだもの少々
- 7倍粥とだし汁、さつまいもマッシュを混ぜる(冷凍していたらレンジで解凍)
- 葉物をトッピングする
※トッピングにしらすや鶏のささみなど、たんぱく質をプラスするのもおすすめです。
さつまいもとささみの茶巾
- さつまいもマッシュ…大2
- ささみのみじん切り…大1(さつまいもとささみは2:1位が混ぜやすい)
- あれば市販のとろみの元…適量
- すべての材料を混ぜて、ラップで茶巾絞りの要領で小さなボールをつくる
※白身魚でもりんごでもおいしい茶巾が作れます。そろそろ手づかみしたそうだなという頃におすすめです。
パパママ アレンジ
スイートポテトサラダはそのままパパママのおかずにもなります。赤ちゃんより荒く潰してほくほく感を残すといいですね。量が少なければジャガイモを混ぜてもOK。味付けはヨーグルトマヨソースはどうでしょうか。
ヨーグルト(無糖)大2にマヨネーズ大2を混ぜます。粉チーズやコショウも好みで加えるとパンチがききます。家族みんなで同じものが食べられると嬉しいですね。
離乳食後期~完了期 さつまいもメニュー
この時期になってくると歯茎で潰せるほどの固さでカミカミする事を楽しみ、食べる意欲を促せるといいですね。食事回数も3回に移っていき、栄養の50~70%を離乳食から摂るようになります。
この頃気をつけたいのが『鉄分』の不足です。さつまいもは加熱に強いビタミンCを含みます。ビタミンCは鉄分の吸収率を高めるので上手に組み合わせて使いたいですね。
さつまいもとほうれん草のグラタン
- さつまいも…大さじ2
- ほうれん草…大さじ1
- 鶏肉やツナなど好きなたんぱく質…大さじ1程度
- ホワイトソース(ベビーフードでも)…適量
- とろけるチーズ…適量
- 下ごしらえしたさつまいもとほうれん草を5mm~1cmに切る。小さく切った鶏肉をバターで炒める(ほぐしたツナなどでもOK)
- 具材を混ぜて、ホワイトソースを適量かけて、チーズをのせる。
- チーズがとろけるまでトースターやオーブンで焼く。
【ホワイトソース 手作り(約4回分)】
- 小麦粉…大さじ2
- バター(無塩があれば無塩がよい)…20g
- ミルク…300cc
- 好みによって離乳食用のコンソメ…少々
- バターを火にかけて、溶けてきたら小麦粉をふるいながら入れる。
- 全体的に混ざったら、ミルクを少しずつ加えていきとろみ加減をみながら混ぜる。
- 少しゆるいくらいで大丈夫なので、火をとめて冷ましてから小分けする。冷凍保存OK。
※小松菜も鉄分が摂れる葉物野菜です。赤ちゃんが好きな他の野菜もさつまいもと同じくらいの大きさにして混ぜてあげると、いろどりも栄養もバッチリです。
9カ月ごろになるとどうして赤ちゃんは鉄分が不足しやすいの?
「貯蔵鉄」ではまかなえなくなってくるということが理由のひとつです。赤ちゃんは生まれながらに、ママのおなかの中にいる時に送られている鉄、「貯蔵鉄」を持っています。9カ月ごろまでは鉄分を意識しなくても貯蔵鉄で十分まかなえますが、9カ月を過ぎる頃になるとその貯蔵鉄が底を尽き不足し始めるため、補給が必要になるというわけです。
さつまいもとお豆腐のおやき
(手づかみできるように小さくまとめて20個位)
- さつまいも…100g
- 絹ごし豆腐…150g
- 片栗粉…大さじ2
- 青のり…大さじ1~お好みで
- 下ごしらえしてマッシュしたさつまいもに豆腐を混ぜる。片栗粉と青のりを合わせておく。
- 滑らかになったさつまいもに片栗粉+青のりを合わせる。スプーンですくって成形できる位の固さまでしっかり混ぜる(片栗粉が足りないようなら足す)
- 持ちやすい大きさ(量は大さじ1が目安)に成形し、フライパンで弱火で焼く。※クッキングシートやアルミホイルをしいて焼けばくっつきにくいです。
青のりはお粥のトッピングや風味付けなど離乳食では使いやすい素材です。鉄分も含むので、上手に加えていきたいですね。もちろんさつまいもとも相性はとてもいいですよ。
さつまいもとりんごの甘煮
- さつまいも…1/2本(小さいものなら1本)
- りんご…1個
- さつまいもは厚めに皮をむき、1cm程の輪切りにして水にはなちアク抜き。りんごも皮をむき、3mm程の厚さのいちょう切りにしておく。
- 鍋にさつまいもをいれて、ひたひた位の水加減にする。さつまいもの上にりんごをのせ蓋をして中火にかける。
- 沸騰したら弱火にして、さつまいもとりんごがやわらかくなるまで煮る。
- 赤ちゃんに合わせて、さつまいもは角切りにしてあげてもよい。
りんごとさつまいもは最強のタッグ。おいしい時期も同じですし、離乳食初期から使える食材です。自然の甘さがたっぷりありますし、栄養価も高い組み合わせです。
煮たものをしっかり潰せば離乳食初期でもOKですし、市販のベビー用むしパンミックスなどに混ぜたら簡単におやつになります。どの時期にも転用できるお助けメニューです。
パパママ アレンジ
【さつまいもとりんごの甘煮を使って】
- 市販のパイシートで包めば簡単にアップルポテトパイができます。
- さつまいもとりんごの甘煮に軽くシナモンをかけて、アイスクリームを添えたらそれだけでおいしいデザートに早変わり。
- さつまいもの分量を増やし、茶巾にするとちょっとしたおかずの1品に変身します。
まとめ
さつまいもは栄養価も高く、主食からおやつまで幅広く使える便利食材です。たくさん茹でてフリージングしたり、家族のメニューに使ってしまえば手間もはぶけて楽チン。離乳食だけを作るわずらわしさも軽減します。
毎日のことなので上手に楽をするのが離乳食の大事なところ。赤ちゃんの機嫌や食べムラに悩まされたりもしますが、家族で一緒に同じものを食べるという嬉しさや楽しさを離乳食の頃から大切にしたいものですね。