8ヶ月の赤ちゃんが離乳食を食べないのはなぜ?食べてもらうための工夫
2019/02/16
離乳食に慣れてきた頃のはずなのに、赤ちゃんが離乳食を食べてくれないと不安になりますよね。なぜ、赤ちゃんは離乳食を食べないのでしょうか?
また、食べてくれないと発達に影響があるのではないか、どのように食べさせれば赤ちゃんは食べてくれるのか、気になる方も多いかと思います。
そこで、赤ちゃんが離乳食を食べない主な原因や食べないことの影響、食べさせるための調理方法や食事時にできることを、今回ご紹介しますね。
このページの目次
8ヶ月の赤ちゃんが離乳食を食べなくなるのはなぜ?
画像出典元:(c) .foto project
赤ちゃんが離乳食を食べない原因は、たくさんあります。ここでは、主な原因をご紹介しますね。
大きさや固さが合わない
もぐもぐと口を動かし、食べ物をつぶして飲み込む練習をする時期。
上手にゴックンと飲み込めるようになって、いやがらずに食事がとれていれば食事の回数を増やし、少し食感のあるかたさに進めてみましょう。引用元: らくらく☆にこにこ離乳食より
赤ちゃんは7~8ヶ月になると、モグモグ期に入ります。したがって、このように離乳食は少し食感のあるかたさ、つまり舌でつぶせる固さもしくは豆腐くらいの固さにするよう、すすめられています。
しかし、赤ちゃんの成長の度合いは様々です。トロトロの状態やなめらかにすりつぶした状態なら食べるというのであれば、それが赤ちゃんの今の食べられる状態なのです。
逆に、トロトロやなめらかな状態が物足りなくなって食べなくなるというケースもあります。したがって、赤ちゃんの様子を見て大きさや固さを決める必要があります。
好き嫌いができた
味覚が発達すると、離乳食に好き嫌いができるようになります。どのような味が嫌いなのでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんに味の付いた水溶液を与えると、甘味・うま味は好むのに対し、酸味・苦味に対しては嫌悪感を示します。甘味に対する好みは生得的なものですが、塩味は一般的に生後3~4か月で識別されるようになり、4~6か月で好まれはじめます。甘味と塩味に対しての嗜好性は、一生を通してあまり変化しません。一方、酸味や苦味に対する嗜好は幼児では低く、成長課程での食体験を通じて高まっていく、と考えられています。
引用元:苦味は大人の味より
以上のように、一般的に赤ちゃんは苦味と酸味が嫌いです。8ヶ月の赤ちゃんに与えられて苦味のある食材は以下のものがあげられます。
苦味のある食材
- ピーマン
- ほうれん草
- ブロッコリー
- しらす干し
- 豆腐
- 納豆 など
アクのある野菜は、苦味を持つことが多いです。また、しらす干しのような丸ごとの魚は苦味を持つ腸(はらわた)も食べることになり、苦味を感じる場合があります。
加えて、大豆製品は苦み成分であるサポニンを含み、苦味を感じる場合があります。一方、8ヶ月の赤ちゃんに与えられて酸味のある食材には、以下の物があげられます。
酸味のある食材
- トマト
- みかん
- いちご
- ヨーグルト など
トマトは種の部分に酸味があります。また、みかんやいちごにはクエン酸と呼ばれる酸味が含まれます。そして、ヨーグルトから出てくる水分はホエー液と呼ばれる有機酸で、酸味があります。
こうした苦味や酸味を取り除かないと、赤ちゃんは離乳食を食べない場合があります。
おっぱいやミルクが好きで頻繁に飲んでいる
おっぱいやミルクが好きだと、なぜ離乳食を食べないのでしょうか。それには、以下の理由があげられます。
おっぱいやミルクを頻繁に飲むことの影響
- お腹がすかない
- 離乳食に興味を持たない
- 離乳食に慣れない
8ヶ月の赤ちゃんにとって、母乳やミルクはまだまだ重要な栄養源です。しかし、おっぱいやミルクを1~2時間おきにあげてしまうと、お腹がすかず離乳食を食べない場合があります。
また、おっぱいやミルクで満足してしまい、離乳食に興味を示さなかったり、なかなか慣れようとしなかったりすることもあります。
焦りの気持ちが伝わっている
離乳食初期の与え方の目安は一さじなど曖昧だったのに対し、離乳食中期に入ると具体的にg数で量の目安が示されるようになります。
目安量の半分も食べていなかったら、焦ってしまいますよね。しかし、ママの表情や雰囲気から焦りの気持ちは伝わります。
そして、焦りの気持ちが伝わると、赤ちゃんは離乳食を嫌なものだと認識してしまうのです。しかし、離乳食を進める上で目安量を確認することは間違ったことではありません。
次は8ヶ月の赤ちゃんが食べる離乳食の目安量を再確認しましょう。
8ヶ月の赤ちゃんが食べる離乳食の量の目安
画像出典元:http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/pdf/zyunyuu3.pdf
量の目安を知ると、焦ったり不安な気持ちになるかもしれませんが、離乳食に徐々に慣れさせるためには量の目安を知っておく必要があります。
たとえ目安量を全て食べないとしても、栄養のバランスや食べさせ方のヒントになるので、今一度確認しましょう。
炭水化物
炭水化物を含む主食となる食材は、米、パン、うどんなどがあります。それぞれ1回の目安量が異なるので、表にまとめました。
食材 | 量 | 目安 |
全粥(5倍粥) | 50~80g | 大さじ4~5 |
食パン | 15~25g | 8枚切り1/3~1/2枚 |
ゆでたうどん | 30~55g | 1/6~1/4玉 |
じゃがいも | 40~70g | 1/3~1/2個 |
乾麺の状態のスパゲッティ | 10~15g | 20~30本 |
お粥だと量が多すぎて食べない赤ちゃんには、他の食材で試してみても良いですね。ただし、食パンやスパゲッティなどに含まれる小麦はアレルゲンになる可能性があります。
小麦を使った食べ物を与える時は、食べた後の赤ちゃんの顔や首、頭に強いかゆみを伴う湿疹が現れないか、嘔吐しないかなど確認してください。また、複数の炭水化物を与える場合はそれぞれの量を減らしましょう。
例えば、お粥とじゃがいもを与える場合は、お粥25~40g、じゃがいも20~35gを目安に与えてください。
野菜・果物
野菜や果物は、1回20~30g(大さじ1.5~2)取るようにすすめられています。野菜や果物に関しては種類別で量が変わることはありません。
複数の野菜を与える場合は、合計の量が20~30gになるようにしてくださいね。
タンパク質・乳製品
タンパク質を含む食べ物には、魚や肉、豆腐、卵などがあります。タンパク質を摂り過ぎると赤ちゃんの消化器官に負担をかける為、それぞれ目安量があります。
食材 | 量 | 目安 |
白身魚 | 10〜15g | 刺身なら2切れ |
鶏肉 | 10〜15g | ささみなら1/4切れ |
豆腐 | 30〜40g | 大さじ2~3 |
ヨーグルト(無糖) | 40〜70g | 大さじ4 |
卵 | 卵黄1個〜全卵1/3個 |
複数のタンパク質や乳製品を摂る時は、それぞれの量を減らします。例えば2種類の食材を与える時は、それぞれの量を目安の半分にしましょう。
また、卵や大豆はアレルゲンになる場合があります。与える時は、食べた後の赤ちゃんに、湿疹が出ていないか、目が赤くなったり腫れていないか、ゼイゼイ言ったり吐いたりしないか確認しましょう。
こうした離乳食の量はあくまで目安であり、赤ちゃんによって適切な量は違います。今食べている量が適量かどうかを確認する方法を次に紹介しますね。
離乳食は目安量を完食させないとダメ?
赤ちゃんは発達度合いに個人差があります。したがって、離乳食を完食しなくても以下の点をクリアしていれば大丈夫です。
食べる量が増えているならOK
少しでも食べているなら、その量が今の適量です。また、大人と同じように赤ちゃんにも、食欲のある日とない日があります。
食べる量を比べる時は、昨日と比べるのではなく1ヶ月前や離乳食を始めた時と比べましょう。
体重が増えているならOK
厚生労働省は、乳児の食事摂取の基準に関してこのように述べています。
乳児及び小児のエネルギー摂取量の過不足のアセスメントには、成長曲線(身体発育曲 線)を用いる。体重や身長を計測し、成長曲線(身体発育曲線)のカーブに沿っているか、体重増加が見られず成長曲線から大きく外れていっていないか、成長曲線から大きく外れるような体重増加がないかなど、成長の経過を縦断的に観察する。
生長曲線の範囲内に身長・体重があれば、離乳食を目安量食べなくても大丈夫です。もし生長曲線から大きく外れているなら、保健師や小児科に相談しましょう。
普段の機嫌が良ければOK
8ヶ月の赤ちゃんの栄養源の割合は母乳・おっぱいが60~70%、離乳食は30~40%です。したがって、普段の機嫌が良く元気に動き回っていれば、赤ちゃんの栄養は足りています。
バランスの良い食事を意識すればOK
離乳食を完食しないのであれば、例えばお粥:野菜:魚を5:2:1の割合で与えるようにしましょう。ただし、それぞれの食材によって目安量は変わる為、割合も変わります。
また、少しずつ量を増やすのであれば、お粥(主食)→野菜→魚( or 肉)→果物( or 乳製品)の順に増やしてくださいね。
以上のことから、目安量の離乳食を完食しなくても深刻な影響はありません。しかし、そうは言っても食べてほしいですよね。
次は、離乳食を食べてもらうために何ができるか確認しましょう。
離乳食を食べてもらうためにできる3つの方法(料理編)
赤ちゃんが少しでも離乳食を食べるように、調理中に工夫できることはたくさんあります。その中でも特に工夫してほしいことを紹介しますね。
1.大きさ・やわらかさを赤ちゃんに合わせる
8ヶ月ごろの赤ちゃんは、歯が生え始めた子もいれば、舌を上手に動かして自分で食べ物をすりつぶせない子もいます。
上手にモグモグしていないな、と感じたら以下のことを意識しましょう。
モグモグできるようになるまで
- 触るとつぶれるやわらかさにする
- 粒を少しずつ作る
- 粒の大きさを少しずつ変える
7~8ヶ月の離乳食の目安ですすめられている「豆腐くらいの固さ」とは、舌と上あごを使ってつぶせる固さを指します。
しかし、全ての赤ちゃんが舌と上あごを上手に使えるとは限りません。豆腐くらいの固さで食べない時は、触るとつぶれるやわらかさを目指しましょう。
また、7~8ヶ月の離乳食の大きさの目安は2~3mmです。しかし、モグモグを上手にできない子は丸飲みしてしまう可能性があります。
赤ちゃんの喉は細いため、人によっては窒息する恐れがあります。したがって、モグモグせず丸飲みするようであれば、全て2~3mmの大きさにするのではなく、なめらかにすりつぶした部分と1mm程度の粒がある状態から始めましょう。
モグモグが確認できたら、粒の量を増やし、そして大きさを変えましょう。
2.食べやすい味にする
食べやすい味にするためには、苦味や酸味を減らす必要があります。どのようにできるか以下にまとめました。
苦味を減らすには
- アクの出る野菜はよく茹でる
- 魚は腸(はらわた)や腸に近い部分を避けて使う
- 豆腐は新鮮な物を使い、茹でる前に水洗いする
- 甘みのある食材と混ぜる
アクに苦味が含まれるので、茹でる時に出るアクはなくなるまで取り除きましょう。また、魚の腸には苦味がある為、取り除いてから調理してください。
豆腐は老化すると苦味が増します。また、にがりの部分にも苦味があり、そうした苦味は水分に溶け出ている場合があります。
苦味を含む水分を取り除くために、豆腐を調理する前は軽く水洗いしてくださいね。
苦味が残るように感じる場合は、甘みのあるお粥や野菜・果物と混ぜて与えましょう。
酸味を減らすには
- トマトは種を取り除いて温める
- みかんは温めるか衝撃を与える
- いちごは先端を使う
- ヨーグルトから出てきた水分は捨てる
トマトの種以外の部分は加熱することで甘みが増します。また、みかんは呼吸する時にクエン酸を消費します。
したがって、みかんがよく呼吸するように温めましょう。また、クエン酸は衝撃で壊れる為、みかんを手でもんだり振り回すことで減らせますよ。
ヨーグルトから出る水分のホエー液は体に良いのですが、赤ちゃんが離乳食を取る目的は栄養を摂ることよりも食事を楽しむことです。
したがって、ホエー液は捨てましょう。
3.見た目を工夫する
赤ちゃんが離乳食に興味を持つようにするには、見た目を意識することも大事です。どのように見た目を工夫できるか、以下にまとめました。
見た目を工夫するためにできること
- 色のある野菜を使う
- 食材別にお皿に盛る
- 形を整える
お粥やうどん、魚など8ヶ月の赤ちゃんが食べられる食材は白色の物が多いです。白い食べ物ばかりだと食欲がそそられない場合があります。
緑黄色野菜は栄養価も高いですから、積極的に取り入れましょう。また、バランス良く食べてほしいからと全ての食材を1つにまとめてしまうとおいしく見えないことがあります。
食材別に盛り付ければ、見た目が良くなるだけでなく食べた量もわかりやすくなり、興味を持った食材を特定しやすくなりますよ。
もし食材を混ぜるなら、自分でも食べたいと思えるかを意識すると良いですね。他にも形を整えて、興味を持たせる方法があります。
赤ちゃんが触ってみたいと思えるような盛り付けをすれば、離乳食に興味を持たせるだけでなく自分で食べる練習にもなりますよ。
食事の時にも工夫できることはあります。食事の際にできることは何か、確認しましょう。※2「ご一緒に」とはどういう意味でしょうか?
離乳食を食べてもらうためにできる4つの方法(食事編)
離乳食を与える時も、工夫できることはたくさんあります。その中のいくつかの方法を紹介します。
1.決まった時間に離乳食を与える
決まった時間に離乳食を与えることで、生活にリズムができ、お腹がすきやすくなります。以下の点に気を付けて、離乳食の時間を決めましょう。
離乳食の時間を決める時に気を付けること
- 寝起きの時間や22時以降は避ける
- 2回食にする時は、間に母乳・ミルクの時間を入れる
- お腹をすかせすぎない
- 時間に縛られすぎない
朝早くや昼寝から起きた時は、まだ食欲が出ない場合があります。また、夜遅くに離乳食を与えると、消化器官に負担をかける恐れがあります。
さらに、2回食の場合は続けて離乳食を与えてしまうと消化に時間がかかる為、食べない可能性があります。他にも、決まった時間を意識しすぎて、極度にお腹をすかせた状態にしてしまったり、お腹がすいていないのに離乳食を与えるのも良くありません。
なるべく赤ちゃんのリズムに合わせてくださいね。
2.触ろうとするのを止めない
赤ちゃんは興味のあるものを触って確かめようとします。テーブルや服、床が汚れますし、食べ物を粗末にするようで抵抗を感じるかもしれませんが、赤ちゃんが触りたがったら、なるべく見守りましょう。
ママのストレスを減らす為に以下の方法がおすすめです。
赤ちゃんが離乳食を触りたがったら
- 汚れてもいい服を着せておく
- テーブルや床に新聞紙やシートを敷いておく
- お手拭きを近くに準備しておく
- ママも汚れてもいい服(or エプロン)を着ておく
赤ちゃんは離乳食を触った手でいろんな所を触ります。どこを触ってもいいように以上の対策をしておけば、ママのストレスが軽くなりますよ。
3.一緒に食事を取る
赤ちゃんはママやパパのしていることに興味を持ちます。したがって、ママやパパが食べている様子を見て、また食べ始めることがあります。
毎回の離乳食の時に一緒に食事を取る必要はありませんが、1日に1回はなるべく一緒に食事を取りましょう。
一緒に食事を取る時は、大人の料理を赤ちゃんの手が届かない場所に置くようにしてくださいね。
4.離乳食の時間を楽しむ
食べさせないと!という焦りの気持ちは赤ちゃんに伝わります。少しでも食べてくれればいいや、の気持ちで離乳食の時間を楽しみましょう。
赤ちゃんに「おいしいよ」などと言って話しかけながら離乳食を与えたり、食べた時は大げさに褒めると赤ちゃんも喜びますよ。
まとめ
赤ちゃんが離乳食を食べない主な理由は、赤ちゃんに合わない固さ、味であったり、ママの焦りの気持ちが伝わっているなどがありました。
離乳食の目安量を知ると、完食させないと!という気持ちになるかもしれませんが、無理に完食させなくても深刻な影響はありませんよ。
味付けや見た目などの調理方法や離乳食が楽しい時間になるよう工夫して、楽な気持ちで離乳食に臨みましょう。