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妊娠初期にレントゲン撮影しちゃったけど胎児への影響は?

      2016/02/28

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レントゲンは健康診断でも撮る、一般的な検査法です。

でも、撮る場合、妊娠しているかどうか確認され、妊娠しているときには撮らないようにいわれます。
ということは、やはり、お腹の赤ちゃんに影響があるということ?

妊娠が分かるのは、早くて妊娠2か月を過ぎたころ。
妊娠に気づいていなくて撮ってしまった、ということは十分にあり得ます。

どの程度のレントゲン撮影で、どの程度の影響があるの?
レントゲンを撮った場所にもよるの?

事実をしっかり知って、過剰な心配をしないようにしましょう。

なぜレントゲンはいけないの?

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なぜ、妊娠中はレントゲンを撮らないようにいわれるのでしょう。

「レントゲン撮影」は、正しくは「X線単純撮影」といいます。
X線は電磁波のひとつで、波長がとても短いため物質を透過する性質を持っています。

レントゲン撮影は、X線のそうした特徴を利用して、外部からは見ることのできない体内を撮影することで、病気の発見などに役立てているのです。

X線は電磁波の一種で、電磁波は放射線の一種です。
そのため、放射線による体内撮影であるレントゲンは、体に良くない、といわれるのです。

放射線はDNAを傷つける

それでは、放射線が体に良くないのはなぜでしょう。

放射線は、電磁波の他にもあります。

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放射線の主な種類

  • 電離放射線

電磁波・・・X線 γ線
粒子線・・・α線 β線 中性子線

  • 非電離放射線・・・・マイクロ波、赤外線、紫外線、可視光線

一般的に「放射線」といった場合、「電離放射線」を指します。
電離放射線の方が、人体への影響は大きいものになります。

放射線とは、不安定な状態にある原子核が、安定した他の原子核になろうとして放射性崩壊を起こす際に出すエネルギーのことです。

放射性崩壊を起こす際の力を「放射能」といい、放射線を出す物質のことを「放射性物質」といいます。

放射線は、体内を通過する際、細胞を傷つけます。
特に、細胞一つひとつに存在するDNAを傷つけてしまうのです。

人間には、傷ついた細胞を修復する力が備わっています。
その修復力以上に傷つけられてしまった場合、様々な影響が表れてしまうのです。

普段の生活の中でも浴びている放射線

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放射性物質は、自然界の中にふつうに存在しています。

「環境放射線」といい、私たちはいろいろな場面で放射線を浴びています。

なお、放射線の単位は、以下の通りです。
1㏜(シーベルト)=1000m㏜(ミリシーベルト)=100万μ㏜(マイクロシーベルト)

普段の生活で浴びる放射線量(世界平均)

  • 呼吸・・・・・・・・・・・・・・・・・年間1.26m㏜
  • 宇宙から・・・・・・・・・・・・・・・年間0.39m㏜
  • 地面から・・・・・・・・・・・・・・・年間0.5m㏜
  • 食べ物から・・・・・・・・・・・・・・年間0.48m㏜
  • 体内から・・・・・・・・・・・・・・・年間0.26m㏜

こうしたものから、人間は、年間2m㏜ほど放射能を浴びているということになります。
日本では、年間1.5m㏜程度との報告が文部科学省から出されています。

そのほか、以下のようなものからも放射線を受けています。

その他の環境放射線の例

  • ラドン温泉・・・・・・・・・・・・・・0.3~15μ㏜/時
  • 飛行機の搭乗(東京―ニューヨーク)・・・1回0.2m㏜

大量に浴びると危険

普通に生活していても浴びている放射線。
それは、ほとんど問題視されることはありません。

問題になるのは、一度に大量に浴びた場合です。

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放射線による障害は、「急性障害」と「晩発性障害」とに分けられます。

放射線による障害の区別

●急性障害

  • 放射線を浴びた直後から現れる障害
  • 250m㏜以上で起こるとされる
  • 嘔吐、やけど、内臓などからの出血、痙攣、脱毛など
  • 7㏜以上で死亡

●晩発性障害(数年~数十年後に現れる障害)

  • 急性障害が発現するほどではない少ない量の放射線を浴び続けた場合
  • がん、白血病、胎内被曝による障害など
  • 放射線によるものと断定することが困難

放射線による人体への影響、特に晩発性障害については、専門家の間でも意見の分かれるところです。
がんや白血病などは、様々な要因が複雑に絡まって起きることであり、確実に放射線を浴びたことが原因、とは言い切れない部分があります。

ただ、放射線が細胞を傷つけてしまうことは事実です。
そのため、「放射線は少量でも浴びないに越したことはない」という考えが主流になっています。

放射線量と赤ちゃんへの影響

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放射線は大量に浴びると危険。
少量でも害がないわけではない。
ということを上で述べてきました。

ママが心配になるのは、レントゲンの赤ちゃんへの影響でしょう。

実際、どのようなことが起きるのでしょう。
具体的に見ていきます。

妊娠初期の大量被曝は危険

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妊娠初期の赤ちゃんは、活発に細胞分裂を繰り返して人間としての体を獲得していく重要な時期です。

この時期に放射線を浴びると、次のような障害が起こるとされます。

なお、「㏉」とは、物質に放射線が当たった時にその物質に吸収される量の単位です。
X線の場合は、1㏉=1㏜となります。
通常、胎児への影響を計る場合、この単位を使います。

妊娠初期の放射線による胎児への影響

●受精直後(受精後0~9日)

  • 受精卵は死亡し流産となる
  • 50~100m㏉

●妊娠4~10週頃

  • 奇形、発育遅延のリスク
  • 100m㏉

●妊娠10~17週頃

  • 精神発達遅滞のリスク
  • 120~200m㏉

特に、妊娠4週~7週頃は、「器官形成期」といわれ、様々な内臓器官や神経系の作られる時期です。
そのため、その頃高い放射線量を浴びると、小頭症など中枢神経系の異常、内臓系の発達の遅れや奇形の発生がみられます。

妊娠10週の頃は、脳の発育が進む時期のため、精神発達遅滞といった出生後の発達に影響が出るようになります。
精神発達遅滞の症状は、妊娠後期に進むにつれ軽くなり、妊娠27週以降は起きないとされています。

その他、放射線を浴びた時期に関係なく、出生後や40歳を過ぎたころに多発性のがんを発生するといわれます。

上記の表からわかるように、お腹の赤ちゃんに影響の出る放射線量は、50~200m㏉です。

国際放射線防護委員会(ICRP)から、胎児に影響の出る放射線の量(閾値)が出されています。
それによると、奇形等の影響が出る放射線の最低値は100~200m㏉(ミリグレイ)とされています。

つまり、50m㏉未満であれば、特に問題はないということになります。

レントゲン撮影による放射線量は?

それでは、肝心の「実際にレントゲンを受けた時の放射線量」はどのくらいなのでしょう。
レントゲン撮影とCT、そして、歯科でのレントゲンとCT、マンモグラフィーについて挙げました。

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レントゲン撮影とCTの被曝量は

国際放射線防護委員会(ICRP)から出されている数値は、以下の通りです。

レントゲン撮影時の胎児の被曝線量(m㏉)

平均値 最大値
頭部  0.01以下  0.01以下
胸部  0.01以下  0.01以下
腹部  2.9 4.2
腰椎  3.5 10
骨盤部  1.7 4
 消化管造影
(バリウム検査)
 1.1(最小値)  4.8
 注腸造影  16 24

CT検査の場合の数値はこちらです。

CT撮影における胎児の被曝線量(m㏉)

 平均値  最大値
頭部  0.005以下  0.005以下
胸部  0.6 0.96
腹部 8 49
腰椎  2.4(最小値) 8.6
骨盤部 26 79

赤ちゃんのいる子宮近くになるにつれ、数値が高くなっているのが分かります。

特に、骨盤部のCTは最大値79m㏉となっていて、50m㏉を超えています。
しかし、骨盤部の平均値は25m㏉となっており、半分の値です。

その他、腹部CTで49m㏉、注腸造影で24m㏉と高い数値になっています。
しかし、これらも平均値で見ると、腹部CTが8m㏉、注腸造影が16m㏉で、50m㏉の半分以下の値です。

歯科でのレントゲン、マンモグラフィーの被曝量は?

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歯医者さんでもレントゲンやCTは行われています。
また、マンモグラフィーもレントゲン撮影です。

歯科でのレントゲンは、デジタル撮影と歯全体をぐるりと回って撮るパノラマ撮影とに分けられます。
それぞれの放射線量は以下の通りです。

歯科でのレントゲン撮影1枚当たり及びCTによる放射線量

  • デジタル撮影・・・・0.01~0.03m㏜
  • パノラマ撮影・・・・0.02~0.03m㏜
  • 歯科用CT・・・・・0.02m㏜

マンモグラフィーの1枚あたりの放射線量

  • 3m㏉以下

マンモグラフィーの放射線量は、ガイドラインで3m㏉以下となるよう定められています。
日本での一般的な撮影では、2m㏉程度といわれています。

歯科のレントゲンは、歯の撮影です。
マンモグラフィーは、乳房自体を挟んで撮影します。
胎児の方向へ向けての撮影ではないため、赤ちゃんが被曝するということはまず考えられません。

必要な検査なら受けるべき

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以上で見てきたとおり、どの部位、どの種類のレントゲンであっても、お腹の赤ちゃんに悪影響の出るような放射線量ではないことが分かります。
したがって、妊娠に気づかずにレントゲンを受けてしまったとしても、特に問題はないということです。

では、なぜ「妊娠中はレントゲンを受けてはいけない」といわれるのでしょう。
それは、「全く問題がない、とはいえない」からです。

上にも挙げた「晩発性障害」については、どのくらいの被曝量でどのくらいのリスクがあるのかということは、はっきりと分かっていません。
また、何枚もレントゲンを受けてしまえば、当然その分多くの放射線を浴びることになり、赤ちゃんに影響が出ることも考えられます。

そうしたことから、「受けないに越したことはない」ということになるのです。
つまり、健康診断など、特に健康上緊急な問題が起きているわけではない場合のレントゲン撮影は、控えた方が賢明です。

しかし、何か重大な病が潜んでいる可能性があり、その検査としてレントゲンが必要という場合は、医師の指示のもと受けるべきでしょう。
一度受けてしまったということが大きな問題になることは、まず考えられないでしょう。

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