クリームチーズを使ったスイーツを食べちゃった。妊婦はチーズを食べない方がいいと聞いたけど、クリームチーズは大丈夫?
2017/06/06
食べ物をはじめとして気をつけるべきことが何かと多い妊娠生活。何をどこまで気をつけなくちゃいけないのか迷うことも多いですよね。
チーズも妊娠中は避けた方がいいと言われる食品の一つ。チーズそのものを食べることは避けていても「うっかりチーズが含まれた食品を食べちゃった」ということもありますよね。
特にクリームチーズはレアチーズケーキやアイスクリームなど身近なスイーツにも含まれますし、加熱調理せずに食べるので不安になります。そこで、妊婦はクリームチーズを食べてもいいのか調べてみました。
このページの目次
そもそもなんで妊婦はチーズを食べちゃダメなの?
チーズを避けるのはリステリア症になるのを防ぐため
チーズを避ける理由それはズバリ「リステリア症」になるのを防ぐためです。では「リステリア症」とはどういう感染症なのでしょうか。
リステリア症とは
リステリア症とはリステリア菌に感染して発症する感染症です。
リステリア菌は河川や動物の内臓の中など自然環境に多く存在します。主な特徴を次にご紹介します。
リステリア菌の特徴
リステリアは、他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。
「加熱すると死滅する」というのは一般的な食中毒の原因となる菌にも共通しますが、2つ目の「4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる」という点がリステリア菌に特徴的なものです。
一般的に保存のために塩漬けにしたり冷蔵庫などの低温で保存したりしますが、リステリア菌はそのような環境でも生き続けます。そのため、生ハムやチーズ・スモークサーモンなど塩気が効いていて低温で保存される生ものにリステリア菌が潜んでいる場合があるのです。
日本国内ではリステリア菌による食中毒の報告例はありませんが、欧米ではリステリア菌が原因とされる集団食中毒が発生しています。
◆リステリア食中毒の主な原因食品例
・生ハムなどの食肉加工品
・未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱をせずに製造されるもの)
・スモークサーモンなどの魚介類加工品
しかし一般的な食中毒であれば誰でも感染する可能性があります。なぜことさら妊婦に注意がうながされるのでしょうか。
妊婦がリステリア菌に感染した場合
リステリア菌に感染して重症化することはまれです。しかし高齢者や免疫機能が衰えているがん患者などは、重症化するリスクが高いため注意が必要です。
妊婦も免疫力が低下しているため重症化するリスクが高く、横浜市衛生研究所によると妊娠した女性は「健康な成人より20倍リステリア症になりやすい」とあります。
また母体だけでなくお腹の中の赤ちゃんにも影響があります。流産につながったり、赤ちゃんがリステリア症にかかった状態で生まれてくることがあるのです。ただ単に食中毒になるだけでなく赤ちゃんの健康に関わるとなると怖くなってしまいます。
では、本題のクリームチーズについてはどうなのでしょうか。次から見ていきましょう。
クリームチーズを食べるとリステリア症になる?
クリームチーズではリステリア症になりません
結論から最初に書きます。クリームチーズは食べても大丈夫です。
横浜市衛生研究所のホームページに以下の記載があります。
*プロセスチーズ、クリームチーズ、コッテイジチーズやヨーグルトは、避ける必要はありません。
出典:横浜市衛生研究所
ではなぜ、クリームチーズは大丈夫なのでしょうか?その理由は先ほどご紹介したリステリア菌の特徴「加熱すると死滅する」にあります。
クリームチーズは製造過程で加熱されている
クリームチーズ自体は、レアチーズケーキに使われたりサンドイッチに塗られたり、調理の際に加熱せずに食べることが多いですね。そのため不安になる方もいますが、安心してください。クリームチーズを作る製造工程の中で加熱処理されているのです。
日本国内のスーパーやコンビニなどで流通しているクリームチーズは、製造過程で加熱処理された乳を元に作られています。だから、レアチーズケーキのように加熱せずに作られたスイーツでも大丈夫なのです。
先ほど引用した横浜市衛生研究所のHPで名前が出ていたクリームチーズ以外のチーズ(「プロセスチーズ」「コッテイジチーズ(カッテージチーズ)」「ヨーグルト」)のどれも製造過程で加熱処理されているチーズです。
では、どんなチーズに注意すればいいのでしょうか?
このチーズはOK? NG?見極めポイント
妊婦が食べてもOKなチーズの見極めポイント
- プロセスチーズはOK!
- 日本国内メーカーのものはOK!
- 殺菌乳のものはOK!
1.プロセスチーズはOK!
チーズには大きく分けて「プロセスチーズ」と「ナチュラルチーズ」の2種類があります。分かりやすく説明すると、「ナチュラルチーズ」を加熱して溶かし加工し直したのが「プロセスチーズ」です。
プロセスチーズは加熱して作られているので安心というわけです。
2.日本国内メーカーのものはOK!
「ナチュラルチーズ」であっても、日本国内のメーカーのものは原料乳の段階で殺菌した「殺菌乳」を使用しています。
また完成した段階でも、リステリア菌に汚染されていないか検査を受けています。そのため安心して食べることができます。
3.殺菌乳のものはOK!
外国産のナチュラルチーズでも原料乳が「殺菌乳」であれば大丈夫と言えます。チーズの銘柄によって必ず無殺菌乳が使われるよう定められたチーズもあります。しかし一般的にはチーズの外見からは「殺菌乳」が原料なのか、殺菌していない「無殺菌乳」が原料なのか区別がつきません。
その場合はぜひ店員さんに尋ねてみてください。もし詳しい店員さんがおらず明確な答えが得られなければ、食べるのは避けておきましょう。
とはいえ、頂き物や外出中の食事でついうっかり!ということはあるものです。最後についうっかり!の対処法をご紹介します。
うっかり食べちゃった!リステリア症にかかってないか心配!
リステリア症の症状チェック
とはいえ、万が一の可能性を考えると大丈夫なのか?と心配になる方もいらっしゃいますよね。「うっかり食べちゃって不安!」という方のために、リステリア症の症状の特徴を元にチェック項目をご用意しました。
リステリア菌 感染チェック
- 発熱や発熱に伴う筋肉痛がある
- 吐き気がある
- 下痢がある
- 頭痛がする
いかがですか?全般にインフルエンザに似た症状と言われます。上記のような症状があればまず風邪かな?インフルエンザかな?と思いますよね。
また食べてすぐ症状が出ることもあれば1ヶ月以上経ってから症状が出ることもあります。
「風邪かなと思って病院を受診したけれど快方に向かわない」など不安な場合は、リステリア菌に感染した可能性はないか2ヶ月間くらいを思い起こしてみましょう。思い当たる節があれば医師にリステリア症の可能性について相談してみましょう。
38 ~39 ℃の発熱、頭痛、嘔吐などがあり、意識障害や痙攣が起こる場合もある。健康な成人では無症状のまま経過することが多いが、感染初期には倦怠感、弱い発熱を伴うインフルエンザ様の症状を示すことがある。
<中略>
潜伏期間は平均して3週間と推定されている。過去の事例では24時間未満から多くは3日以上で、1カ月以上のものもあり、広範囲にわたっている。したがって、集団発生の場合でも発生がバラバラで、原因食品を特定することが困難である。
まとめ
クリームチーズは妊婦さんが食べても大丈夫ということがわかりましたね。
リステリア菌による感染を避けるには加熱が重要です。不安な場合は加熱調理してチーズを食べれば安心です。
でもやっぱりチーズが大好きだからナチュラルチーズをそのまま食べたい!というときは、販売店の店員さんなど専門知識のある人に相談しながらきちんと選びましょう。
いずれにせよ食べ過ぎは禁物です。好きなものを適度に楽しんで、妊娠生活をハッピーに楽しみましょう!