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妊娠初期から糖尿病に注意!妊娠糖尿病のリスクとは

      2017/06/24

妊婦検診の血液検査で、血糖値を計ります。また、毎回尿検査をし、糖が出ていないか調べます。

この目的のひとつは、糖尿病、そして妊娠糖尿病の早期発見です。

妊娠糖尿病は、「妊娠中に初めて発症した糖尿病には至っていない糖代謝異常」と定義され糖尿病とは区別されています糖尿病である場合は「糖尿病合併妊娠」といわれ、より重症ということになります

妊婦の約12%がかかるといわれる妊娠糖尿病。決して珍しいものではありません。しかし、しっかりと対策をとらないと、母体にも赤ちゃんにも多くの悪影響を与えます

そもそも糖尿病とはどういうものか、妊娠糖尿病と一般の糖尿病は違うのか。詳しく見てみましょう。

糖尿病とは血糖値がコントロールできなくなる病気

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血液検査で血糖値を計って診断される糖尿病。糖尿病とは、血糖値が高くなってしまう病気です

ご飯などの炭水化物を摂取すると血糖値が上がり、運動をするなどしてエネルギーを消費すると血糖値は下がります。

炭水化物はつまり糖質で、糖質は摂取するとブドウ糖などの単糖に分解されて体に吸収されます。吸収されたブドウ糖は血液に乗って体の隅々に運ばれ、エネルギー源となります。

その際、膵臓から分泌されるインスリンなどのホルモンによって、血液中のブドウ糖の濃度は調整されます。

インスリンは、血糖値を下げる働きを持つただひとつのホルモンです。

このインスリンが、何らかの原因で分泌されなかったり分泌量が少なかったり、または、きちんと作用しなかったりすると、血液中にブドウ糖が多く含まれすぎてしまうことになります。

これが、「血糖値が高い」という状態であり、体に様々な悪影響を与えます。

主に以下のような症状がありますが、どこかが痛いということはないので、なかなか自覚しにくいものです。

糖尿病の主な症状

  • のどの渇き
  • 尿量の増加、頻尿
  • 体重減少
  • 倦怠感
  • 目のかすみ

血液中に含まれ過ぎたブドウ糖は、不要物として排出しようとして尿が増えます。これは、尿に糖が出ることに結び付いています。

また、尿が増えるため体の水分不足が起き、のどの渇きとなります。

ブドウ糖がきちんと細胞に取り込まれにくくなるため、体重が減ったり疲れを感じやすくなったりします。

糖尿病は目に障害が出やすく、目のかすみが初期の症状として表れやすくなります。

症状が進むと合併症を起こします。多くの人がかかる三大合併症といわれるものがあります。

糖尿病の三大合併症

  • 糖尿病神経障害・・・・神経伝達がスムーズに行われなくなり、手足のしびれや麻痺を起す。麻痺に気づかず壊疽などを起こすことも。
  • 糖尿病網膜症・・・・・目の血管に障害が出て、目のかすみや視力の低下が起き、失明に至る場合もある。
  • 糖尿病腎症・・・・・・腎臓の働きが悪くなって老廃物の排出が滞り、血圧上昇やむくみが起き、腎不全などへ移行する。透析の必要が出てくる。

そのほか、動脈硬化が起きることで、心筋梗塞や脳梗塞などにもつながります。糖尿病には、2つの種類があります。

糖尿病の種類

  • 1型糖尿病・・・インスリンが、ほとんど、または全く分泌されない。
  • 2型糖尿病・・・インスリン不足の場合と、インスリンの作用不備でブドウ糖が細胞にいきわたらない場合が。

1型は遺伝によるものと考えられていて、若年層に多く見られます。

一方、糖尿病患者の95%が2型で、食事内容の偏りや運動不足などによる生活習慣病と位置付けられています。中高年層に多く見られますが、近年子どもにも増えているといわれます。

糖尿病は、一度かかると治りません。血糖値の管理をずっとし続けなければいけなくなります。

妊娠をきっかけに起きる「妊娠糖尿病」

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妊娠糖尿病も、通常より血糖値が高値となるものですが、妊娠をしたことで起こるもので、糖尿病ほど高くはありません

なぜ妊娠をすると血糖値が上がるのでしょうか。

妊娠すると、胎盤でインスリン拮抗ホルモンが作られます。プロゲステロンやプロラクチンなどがこれに当たります。

これらのホルモンは、妊娠の維持や乳房の発達といった、妊娠に欠かせない働きを持つものですが、一方で、インスリンの「血糖値を下げる」という働きをおさえる作用も持ちます。

これは、赤ちゃんのために血液量が増えた分、赤ちゃんにブドウ糖をしっかり届けるため血糖の濃度を上げるという働きです。通常、体はその分インスリンの分泌を増やし血糖値をコントロールします。

しかし、体質的にインスリンの分泌が少ない場合やインスリンに対する作用が強く出てしまった場合などは、血糖値のコントロールがうまくいかず、血糖値は上がってしまいます。これが、妊娠糖尿病です。

糖尿病ほど血糖値は高くない妊娠糖尿病ですが、血糖値のコントロールを怠ると、赤ちゃん、母体共にリスクが生じます

妊娠糖尿病によるリスク

  • 母体・・・・・妊娠高血圧症候群、羊水過多症、尿路感染症など
  • 赤ちゃん・・・巨大児、子宮内胎児死亡、新生児低血糖、呼吸障害など

リスクが高いのは巨大児で、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠ともに、発生率は7.1%といわれます

巨大児とは、胎児の推定体重が4000g以上ある場合を指し、経膣分娩では肩甲難産になりやすくなります。

肩甲難産とは、赤ちゃんの肩が牽引をしても出てこない状態で、赤ちゃんの腕に麻痺を起こしたり鎖骨や腕を骨折したりしてしまいます。出産に時間がかかるため、新生児仮死にもつながります

母体の側も、子宮破裂や膣・頸管裂傷などのリスクがあります。そうしたことから、その回避のために、多くは帝王切開が選択されます。

赤ちゃんがお腹にいる間は、子宮内胎児死亡が心配されます

妊娠糖尿病によって子宮内胎児死亡が起きる理由は、以下のようなものです。

妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠による子宮内胎児死亡の主な要因

  • 巨大児
  • 子宮内発育遅滞
  • 妊娠高血圧症候群
  • 羊水過多症

限られた子宮の中で大きくなりすぎてしまうことは、一つの原因になります。

長期にわたる母体の高血糖で血管が傷つき、きちんと栄養が送られない状態は子宮内発育遅滞につながります。その事から胎児死亡を起こすこともあります。

妊娠高血圧症候群は原因不明ではありますが、胎盤がうまく作られずきちんと機能していないのではないか、という考えが原因の一つとして挙げられています。

そうしたことから胎児の発育不全や常位胎盤早期剥離が起き、胎児死亡につながっていると考えられています。

羊水過多症は、子宮内の羊水が800ml以上ある場合を指します。原因ははっきりわかっていませんが、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠の約5%に起こるとされます

羊水は主に胎児の尿であるため、羊水の状態から母体、胎児の状態を把握することでき、胎児奇形を知る手掛かりになることが多くあります。

また、早産や常位胎盤早期剥離のリスクが高く、そうしたことが胎児死亡に結びついています。

産後のリスク「糖尿病の発症」

妊娠糖尿病は、出産後正常に戻ることがほとんどです。しかし、将来糖尿病を発症する確率の高いことが分かっています

妊娠糖尿病にかかった人が将来糖尿病になる確率は、妊娠糖尿病ではなかった人に比べ7.43倍である、という研究結果がアメリカで出されています。

ある調査では、産後半年以内で5.4%の人が糖尿病に移行、さらに15年以上の追跡調査で、多く見て60%に上る確率で糖尿病を発症しているという結果が出ています。

こうしたことが分かっているため、妊娠糖尿病になった人は出産後も定期的に血糖値の検査が必要になり、生活習慣に注意して過ごすことが求められます。

妊娠初期の高血糖は「糖尿病合併妊娠」の可能性大

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妊娠糖尿病は、「妊娠中に初めて発症した糖尿病には至っていない糖代謝異常」と定義され、その原因は、胎盤からのインスリン拮抗ホルモンの分泌である、と上で述べました。

胎盤の完成は、妊娠中期に入るころです。そのため、妊娠糖尿病は中期以降に発症することが多くなります

妊娠初期に血糖値の高い状態が分かった場合、妊娠前から糖尿病あるいはその予備軍であった可能性が高いのです

妊娠初期の高血糖は、先天奇形のリスクが高く、そのため、出来るだけ早い発見と対応が必要となります。

妊娠初期の妊娠糖尿病のリスク「先天奇形」

妊娠初期に妊娠糖尿病と診断される場合もあります。その場合、妊娠前から糖尿病とまではいかなくとも血糖値が高めであった、つまり糖尿病予備軍だった可能性があります。

その場合のリスクとして挙げられるのは、赤ちゃんの先天性の奇形です。

妊娠糖尿病および、糖尿病合併妊娠による先天奇形は、約6~10%に起きるといわれます。

主な奇形は次の通りです。

妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠による奇形

  • 心奇形・・・・・心肥大、心室中隔欠損など
  • 骨角奇形・・・・小頭症など
  • 腎奇形・・・・・腎形成不全、尿管重複など
  • 消化管奇形・・・十二指腸閉鎖、直腸閉鎖など

妊娠初期に血糖値の高い状態があると、なぜ、奇形が発生するのでしょう。

それは、妊娠初期が赤ちゃんの体が形作られる時期「器官形成期だからです。

妊娠初期のころの赤ちゃんは、以下のような状態にあります。

妊娠初期の赤ちゃんの発達

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  • 妊娠1か月(妊娠0~3週目)・・・・・・3週目ごろに子宮に着床
  • 妊娠2か月(妊娠4~7週目)
    • 6週目ごろ心拍確認
    • 7週目ごろ手足が分かれ、心臓、肝臓、胃腸などの臓器が形成される
    • 神経細胞の約8割がつくられ、脳、目や耳などの神経が発達
  • 妊娠3か月(妊娠8週~11週目)
    • 背骨ができ始め、骨の形成が始まる
    • 内臓はほぼ出来上がり、働き始める
    • 神経が発達し、体を動かすようになる
  • 妊娠4か月(妊娠12週~15週目)
    • 胎盤が働き始め、妊娠4か月の終わりごろ完成
    • 心臓による血液循環が始まる
    • 脳の経路の一部ができる

妊娠2か月の妊娠4週~7週までを「器官形成期」といい、赤ちゃんの様々な器官が作られる重要な時期に当たります

このころに血糖値の高い状態にあると、赤ちゃんの細胞分裂に大きく影響し、奇形を発生するのです

アメリカの研究で、糖尿病の母から生まれる赤ちゃんの奇形は、妊娠7週までに決定づけられている、と発表されています。

妊娠7週までが最も危険とされていますが、妊娠3か月になる8週~15週でも一部では形成が進んでいるため、奇形が発生する場合があります。

妊娠16週以降、つまり妊娠中期に入ると、奇形の危険性はほぼなくなります

なぜ血糖値が高いと奇形が発生するのでしょう。それは、「ポリオール経路の活性化」であるといわれています。

ポリオール経路とは、摂取した糖質がブドウ糖となって細胞に入りエネルギーとして使われる過程のことですが、血糖値が高いとこの経路が活性化し、ソルビトールというブドウ糖の還元糖質が細胞に蓄積されるようになります。

この事が細胞に異常を発生させます。これは糖尿病による合併症の発症のメカニズムと同じで、胎児の場合は奇形の発生させてしまうのです。

血糖値コントロールで先天奇形は防ぐことができる

「器官形成期」の頃は、母体は妊娠に気づくかどうかという時期です。奇形を防ぐためには、妊娠前から自分の血糖値を把握しておく必要があります

妊娠糖尿病になりやすい人は分かっています。

妊娠糖尿病になりやすい人

  • 両親や祖父母に糖尿病患者がいる
  • 肥満である
  • 35歳以上(高齢妊娠)
  • 巨大児の分娩経験者
  • 妊娠高血圧症候群、羊水過多症の経験者

以上のような状況に当てはまる場合は、妊娠前に血糖値を調べておくことが大切です

高めであることが分かれば、妊娠前から血糖値のコントロールを始めることができます。血糖値をしっかり管理することができていれば、医師と相談のうえ、先天奇形を防いでの妊娠出産は可能です。

妊娠糖尿病の診断と治療

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妊娠するまで自分の血糖値なんて知らなかった!そういう人は多いでしょう。妊娠糖尿病の診断はどのようにされるのでしょう。そして、治療についても見てみましょう。

妊娠糖尿病の診断

高血糖による先天奇形を完全に防ぐには、妊娠前からの血糖値管理が必要ですが、出来るだけ早い段階で血糖値の高い状態を発見するために、妊娠初期と中期の2回、血糖値の検査を行います

妊娠初期(初回検診~妊娠10週ごろ)の血糖値の検査

血液検査を行い、随時血糖値が100㎎/dl以上の場合は、75gブドウ糖負荷試験を行います。

そこで、以下の3つのうち1つでも当てはまれば妊娠糖尿病と診断されます。

  • 空腹時血糖値92㎎/dl~125㎎/dl
  • 1時間後の血糖値180㎎/dl以上
  • 2時間後の血糖値153㎎/dl以上

妊娠中期(24~28週)の血糖値の検査

随時血糖100㎎/dl以上、または、50gブドウ糖負荷試験1時間値140㎎/dl以上の場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。

その結果、上に挙げた3つのうち1つでも当てはまれば、妊娠糖尿病となります。随時血糖時、50gブドウ糖負荷試験の両方を行うのではなく、どちらかで調べます。

ブドウ糖負荷試験とは、75gまたは50gの糖分を含む飲み物を飲み、飲む前、飲んで1時間後、2時間後に採血をし、血糖値を調べます。75gブドウ糖負荷試験は、前日から水分以外は摂取しないようにしなければいけません。

あわせて、糖尿病の診断基準も以下に示します。

糖尿病の診断基準

  • 空腹時血糖値126㎎/dl以上
  • HbA1c(直近1,2か月の血糖値の状態を計る値)6.1%以上
  • 随時血糖値200㎎/dl以上
  • 糖尿網膜症を発症している

上記の検査の結果、上の4点のどれかに当てはまった場合「糖尿病」と診断され、妊娠糖尿病よりもさらに厳重な管理が必要になります。

妊娠糖尿病と診断されたら

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妊娠糖尿病と診断されたら、すぐに血糖値の管理が必要になります。国際的に目標とされている血糖値の数値があり、その値を目指して行います。

妊娠中の血糖値の目標値

  • 食前血糖値・・・・・・・100㎎/dl未満
  • 食事1時間後血糖値・・・140㎎/dl未満
  • 食事2時間後血糖値・・・120㎎/dl未満

受診の時のみの検査では不十分なため、家庭で自己測定することが求められます。受診時には、HbA1cなどの検査を定期的に行います。

治療の基本となるのは、次の3点です。

妊娠糖尿病の治療内容

  • 食事療法
  • インスリン療法
  • 運動療法

食事療法では、カロリー制限が行われますが、過度の制限は母体にも赤ちゃんにも悪影響です。そのため、異常の見られない妊婦の必要カロリーの30%程度のカットを目安にカロリーが決められます。

妊娠中は、赤ちゃんに優先的にブドウ糖が送られます。母体に不足する分は脂肪の燃焼でエネルギーを獲得することになりますが、その際に作られるケトン体が多くなりすぎると、糖尿病ケトアシドーシスに陥りやすくなります。

それを防ぐためにも、過度な食事制限は行わないようにします。

食事の摂取は、1日5~6回に分けて食べる分食奨められます。分けて食べることで、一回の食事の血糖値上昇を抑えることができます。また、ケトン体が出やすくなる空腹状態も避けやすくなります。

こうしたことを行っても血糖値のコントロールが困難な場合は、インスリン療法を行うことになります。経口薬は赤ちゃんが低血糖を起こすことにつながるため、注射で行うことになります

運動療法も並行して行われます。ウォーキングやマタニティヨガなどの有酸素運動が良いとされます。

食後1~2時間後が望ましく、1回15分~30分を週に4回程行うことが奨められます

赤ちゃんの状態によっては、運動を禁止される場合もありますので、医師としっかり確認しましょう。

妊娠糖尿病予防のために

妊娠中は、ただでさえ血糖値が上がりやすいものです。毎回の検診で尿検査を行い、尿糖を計るのはそのためです。

妊娠糖尿病にならないために、日ごろから注意したいものです。特に見直したいのは食事でしょう。

アメリカの研究で、動物性たんぱく質を多く摂っている人は妊娠糖尿病にかかりやすい、逆に、植物性たんぱく質の施主が多い場合はかかりにくい、という結果が出されています。

動物性たんぱく質の場合28%上昇、植物性たんぱく質の場合31%減少した、ということです。

動物性たんぱく質の中でも、最も確率が高いのは赤身肉、ついで加工肉の順で上昇率が髙くなっています。魚や鶏肉、卵、乳製品に関しては、差はありませんでした。

動物性たんぱく質の摂りすぎは肥満を招き、糖尿病を発症しやすいものです。一方で植物性たんぱく質は食後の血糖値の上昇が緩やかという特徴があり、そうしたことを考えると理にかなっているといえます。

植物性たんぱく質の代表といえば、大豆でしょう。豆、豆製品を日ごろから意識して摂り、その分動物性たんぱく質を減らした食事内容にしていくことは、妊娠糖尿病の予防につながると期待が持てます。

まとめ

妊娠糖尿病は、これまで糖尿病に縁のなかった人でもかかる可能性のあるものです。妊娠をすると血糖値が上がりやすくなること、そして、それはお腹の赤ちゃんに大きな悪影響を与えることになる、ということを忘れないようにしましょう。

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