妊娠中のカフェインは全くNG?どれくらいならOKなの?飲みたくなったらどうしたら?
2019/02/18
コーヒーや紅茶が大好きな女性はとても多いですよね。仕事の合間に呑むコーヒーがストレス解消になっている、ほっとする大切な時間だという人も少なくないと思います。
その一方で、妊娠中にコーヒーなどのカフェインがNGという言葉も聞いたことはありませんか?実際のところ、どうして妊娠中のカフェイン摂取がNGといわれているのでしょうか。
また、本当に一切口にしてはいけないのでしょうか?口にしてしまった場合、胎児にはどのような影響があるのでしょうか。コーヒーなどが大好きな妊婦さんは気になりますよね。
今回は、妊娠中のカフェインの摂取について、胎児への影響や許容範囲な摂取量、産後についてまで詳しく紹介させていただきます。
このページの目次
妊娠中のカフェインの摂取がNGな理由は?
厚生労働省・食品安全委員会の研究によると、現段階で日本では妊婦さんのカフェイン摂取による胎児への影響が具体的にどのようなものがあるか、評価はされていません。
ただし、日本はもちろん、WHOやイギリスやカナダなどの先進国で、妊娠中のカフェイン摂取の注意喚起がされています。カフェインは成人でもその影響を受けやすい体質の人は、以下のような症状がみられるといわれています。
カフェインの摂取による悪い影響(成人の場合)
- 興奮
- 不安
- 不眠
- 下痢
- 吐き気
このように、内臓機能がしっかり作られた成人であっても、コーヒーなどのカフェインが多く含まれる食品を摂取することで身体に悪影響が出ることがあるという報告がされています。
カフェインの摂取による悪い影響(胎児の場合)
- 低体重で生まれる可能性が上がる
- 将来的な健康リスクが上がる
- 自然流産を引き起こす可能性がある
成人に比べて、まだ内臓が出来上がっていなかったり、未発達である胎児にとっては、カフェインの影響をもろに受けやすく、良い環境ではないといえます。
また、英国食品基準庁によると、妊婦が過剰にカフェインを摂取することで出生時が低体重となることや将来の健康リスクが高くなる可能性があるということを発表しています。
さらに、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性があるということまでも言われています。ここまで聞いていると、妊娠中にカフェインを摂取するのが怖くなってしまう妊婦さんもいるかもしれません。
でも、日本やWHOなどの基準で、カフェインの摂取に関するリスクは啓発していても「一切口にしてはいけない」とは言っているわけではありません。
大切なのは、「妊娠中の過剰摂取により、胎児に何らかの悪影響がある場合がある」ということです。許容範囲の摂取量を守るように提言されていますので、その基準を守るように気を付けましょう。
カフェインが含まれる食品とは?
では、カフェインの摂取のし過ぎに注意するために、カフェインが含まれている食品とはどんなものがあるのかも知っておきましょう。代表的なものは以下の通りになります。
カフェインの含まれる飲み物
- コーヒー
- 紅茶
- 煎茶
- コーラ
紹介したものは代表的なものの抜粋ですが、コーヒーや紅茶は知っていもコーラはちょっと意外だったのではないでしょうか?特に妊娠中はげっぷがしたくなったりして炭酸飲料を飲みたいという人が増えます。
つわりや後期のげっぷの対策として炭酸飲料を飲むことはNGではありませんが、コーラにカフェインが含まれているということは知っておきましょう。そのほか、エナジードリンクなどの栄養ドリンクなどにも含まれている場合があります。
こういったドリンクを飲む際には、表示をしっかり確認するようにしましょう。
カフェインの含まれる食べ物
- チョコレート
- 各種食品のチョコレート味やコーヒー味のもの
カフェインが含まれる食べ物としては、代表的なものはチョコレートです。これだけで考えれば「チョコレートだけか」と思うかもしれませんが、アイスやお菓子などチョコレート味のものやコーヒー味のものは多く存在します。
こちらも飲み物同様に全く摂取してはいけないものではありませんが、過剰な摂取はカフェインの面だけでなく、カロリーの面でも注意するようにしましょうね。
参考文献:東京都福祉保健局 東京都食品安全FAQ
どれくらいだったら飲んでも大丈夫?
食品安全委員会が公表している、妊娠中でも胎児に悪影響がないとされているカフェインの摂取量は、以下のようにまとめられています。
胎児に悪影響がないとされているカフェイン摂取量
機関 | 悪影響がないとされている最大摂取量(1日当たり) | コーヒーに例えたら… |
世界保健機関(WHO) | ― | コーヒーカップ3~4杯 |
オーストラリア保険・食品安全局 | 300㎎ | コーヒーカップ4~6杯 |
英国食品基準庁 | 200㎎ | コーヒーマグカップ2杯 |
各機関で若干の差はありますが、この表を見る限り、1日1~2杯程度にしていたら安心ということが分かると思います。
また、一般的なカフェインの摂取源となるコーヒーでお伝えしましたが、そのほかの食品のカフェイン摂取量は以下の通りです。
各食品のカフェイン含有量
食品名 | カフェイン含有量 |
コーヒー | 60mg/100ml |
紅茶 | 30mg/100ml |
煎茶 | 20mg/100ml |
コーラ | 36~46mg/355ml(1缶) |
チョコレート | 61mg/100g(平均) |
こちらの表からわかるように、コーヒーに含まれるカフェインの量がダントツに多くなっています。先に紹介したコーヒーの量を参考にして、そのほかの食品の摂取も調整してくださいね。
参考文献:東京都福祉保健局 東京都食品安全FAQ
どうしてもカフェインの入った飲み物が飲みたい場合はどうしたら?
どうしてもコーヒーや紅茶など、カフェインが入った飲み物が飲みたい!という場合は、以下のような対策方法があります。
カフェイン入りの飲み物が飲みたい場合の対処法
- 胎児に影響のない範囲で飲む
- デカフェ(カフェインレス)の飲み物を飲む
1日の許容範囲の量以上にコーヒーや紅茶が飲みたいという場合は、デカフェと呼ばれるカフェインレスのコーヒーや紅茶を飲むことをおすすめします。
最近ではカフェインレスの飲み物が注目されてきており、大手コーヒーチェーン店であるスターバックスもデカフェの販売を始めています。
2017年1月11日(水)より、コーヒーの選択肢を広げることでライフスタイルをより豊かにする『ディカフェ スターバックス ラテ』とその他ディカフェ商品のラインナップを全国のスターバックス店舗(一部店舗を除く)にて販売を開始します。
一昔前までは、カフェインレスのコーヒーは美味しくない・味が薄いといったイメージが強かったかと思いますが、最近のものは質が上がってきています!ぜひ、試してみてください。
カフェインレスのコーヒーとして有名なのが、タンポポコーヒーです。おすすめはこちら。
産後はカフェインOKなの?
妊娠中のカフェインの摂取量やコーヒーの摂取の仕方について、理解していただけたでしょうか。そうなると次は出産後のカフェインの摂取についても気になりませんか?
実は、授乳中もカフェインの過剰摂取は良くないといわれています。母乳はママの血液から作られているため、少量とは言えどもママが口にしたカフェインが母乳に含まれてしまいます。
ママがカフェインを過剰摂取することによって赤ちゃんに出るといわれている影響をまとめました。
カフェインによる赤ちゃんへの影響
- 寝つきが悪くなる
- 落ち着きがなくなる
- ぐずる、不機嫌な状態が続く
以上のような症状があるといわれています。このような症状は赤ちゃんもかわいそうですし、ママも大変ですよね。そのため妊娠中と同じように授乳中にもカフェインの摂りすぎには注意するようにしましょう。
適度ならOK!上手な気分転換を!
紹介した通り、妊娠中や授乳中のカフェインの摂取に関しては、胎児への影響があるといわれてはいるものの、その量を調整すればよしとされています。
コーヒーであれば、1日1~2杯程度にしておきましょうと言われていますが、決して「妊娠中は一切口にしてはダメ!」というわけではありません。
妊娠前からコーヒーが大好きな女性も多いでしょうから、問題ないといわれている量までに抑えるようにしながら、ストレスをためないように過ごしていきましょう。
もしそれ以上も飲みたいという場合は、デカフェやカフェインレスの飲み物をうまく並行して飲んで、気分転換してくださいね。
妊娠中のカフェインはよくないと知っていてコーヒーを飲むのはやめていたけれど、食事のときに飲んでいた緑茶にもカフェインが含まれていると知ってびっくり。似たような体験ありませんか?
さまざまな飲み物や食べ物に含まれるカフェイン。妊娠中の体にどのような影響があるのでしょうか。またどれくらいなら摂っても大丈夫なのでしょうか。具体的な摂取量の目安を調べてみました。
カフェインの基礎知識
カフェインはどんなものに含まれているの?
カフェインとは「アルカロイド」という有機化合物の一種で、コーヒー豆やカカオ豆・茶葉などに含まれています。私たちが日常的に口にしているカフェインの多くはコーヒー豆や茶葉を原料とするもので、さまざまな食品に含まれています。
厚生労働省の食品安全委員会によると、カフェインを含む主な食品として次の4種類の飲み物があげられています。コーヒー>紅茶>せん茶の順番にカフェイン量が多いことがわかります。
食品名 カフェイン含有量 備考 コーヒー 60mg/100ml 浸出方法:コーヒー粉末10g/熱湯150ml インスタントコーヒー 57mg/100ml 浸出方法:インスタントコーヒー2g/熱湯140ml 紅茶 30mg/100ml 浸出方法:茶5g/熱湯360m、1.5〜4分 せん茶 20mg/100ml 浸出方法:茶10g/90℃430ml、1分
また、以上のような茶葉から抽出するのではなく市販の飲み物でも、以下のような量のカフェインが検出されています。
【市販飲料のカフェイン含有量調査結果】
○緑茶(49 検体) 5~23mg/100ml○ほうじ茶(2 検体) 10,15mg/100ml
○烏龍茶(2 検体) 10,14mg/100ml
○エナジードリンク(26 検体) 14~180mg/本
出典:東京福祉保健局
カフェインの体への作用は?
カフェインにはさまざまな作用があり、薬として使われている側面もあります。カフェインの作用としてよく知られているのは覚醒作用ですね。ドリンク剤などの医薬品にはカフェインが含まれています。
また、朝起きたときや仕事合い間のティータイムなどにお茶やコーヒーを飲むと頭がスッキリするなどいい影響もあります。
しかし、カフェインを摂りすぎると体調不良を起こす場合もあります。2015年にカフェインを含むエナジードリンクによる死亡事故が起こりました。
厚生労働省の食品安全委員会は、カフェインを急激に多量摂取した時に起こる急性作用として、めまいや震えをあげています。
一般的な急性作用は、 中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症で、消化管系の 興奮状態は下痢、吐き気をもたらすことがあります。
妊娠中や授乳中に急にたくさんのカフェインを摂取するということはなかなかありませんが、習慣として「毎日1カップだけコーヒーを飲んでいる」など長期的にカフェインを摂っているということはありますよね。
では妊婦や胎児への影響はどのようなものがあるのでしょうか。次から見ていきましょう。
妊娠中のカフェインはどんな影響があるの?
妊娠中のカフェインの影響
カフェインにはカルシウムを排出する作用や一時的に血圧を高める作用があります。
どれくらいのカフェインを摂るとどれくらいリスクが高まるのかなど詳しいことはわかっていませんが、厚生労働省は以下のようなリスクがあるとして、妊娠中のカフェインの摂取は控えるように呼びかけています。
カフェインの取りすぎによるリスク
- 出生時に低体重となる可能性がある
- カフェインの取りすぎにより流産につながる可能性がある
妊娠中でもOKなカフェイン量の目安は?
世界各国の摂取量の目安
日本でも海外でもはっきりと「一日何mgまで」というような規定値を設定している国はありません。しかし、人体への影響はさまざまな機関が研究し一日に飲んでいい目安を出しています。
それぞれの機関の提言内容をまとめた表がこちらです。
海外のリスク管理機関などが勧告している目安量(妊婦)
一日当たりの悪影響のない最大摂取量
飲料換算
機関名
ー コーヒー カップ3~4杯
世界保健機関(WHO)
300mg/日
コーヒー カップ4~6杯(150ml/杯)
オーストリア保健・食品安全局(AGES)
200mg/日
コーヒー マグカップ2杯
英国食品安全庁(FSA)
300mg/日
コーヒー マグカップ2杯(237ml/杯)
カナダ保健省 出典:内閣府食品安全委員会
一日の摂取量の目安は200mgと考えよう
上記の表によると、最大摂取量の数値を出していない世界保健機関(WHO)を除けば一番値が小さいのは英国食品安全庁(FSA)の200mgです。
ではこの一日に200mgというカフェインをいろいろな飲み物に置き換えると、それぞれ具体的にはどれくらいの量になるのでしょうか。
1日に飲める量の目安
1日200mgを目安とした場合、1日にそれぞれの飲み物を何杯飲めるのか?東京福祉保健局がまとめた資料から以下に図表をご紹介します。
意外に飲めるぞ!と思った方もいれば我慢しなくてはいけなくて大変!と思った方もいるのではないでしょうか? コーヒーはカフェインを多く含むため一日に2杯未満となってしまいますが、紅茶は3杯までOKなので毎食後に1杯ずつ飲んでも大丈夫な計算です。
食品 摂取目安量 コーヒー 1.7杯 紅茶 3.3杯 せん茶 6.7杯 コーラ 4.3缶 チョコ 6枚 出典:東京福祉保健局
まとめ
妊娠中はいろいろなことが気になり心配事が増える時期です。カフェインは悪影響もあるので気をつける必要がありますが、一日に好きな飲み物を1杯、2杯楽しむ範囲では大丈夫だということがわかりました。
ストレスの溜まりやすい妊婦ライフです。気にしすぎてストレスを溜めるよりは、紅茶好きであれば「一日3杯まで」コーヒー好きであれば「一日1杯まで」と決めてティータイムを楽しむ!といったストレス発散もいいのではないでしょうか。
カフェインが赤ちゃんに与える悪影響とは?
カフェインと言えば、眠気覚ましを始めとする覚醒効果がよく知られていますね。コーヒーなどカフェインを多く含むものを飲むと、頭がすっきりして集中力が高まり仕事がはかどるという人もいることでしょう。
では、妊娠中の摂取がよくないと言われるのはどうしてでしょうか。
カフェインは、体内で分解されるまでに時間がかかる上に胎盤を通過しやすい性質があります。そのためママがカフェインを摂取するとそれと同じ濃度のカフェインが胎児にも流れこみます。
しかし、胎児自身は分解排出ができないために蓄積されてしまうことが分かっています。また、覚醒効果もそのまま胎児へ作用すると考えられています。
残念ながら、現段階では、胎児に蓄積されたカフェインや覚醒作用が胎児にどのような影響を与えるかについては研究途上で、今でも様々な調査や研究が続けられているところです。
一方で、2008年に発表されたイギリスの論文によると、カフェインを継続的に摂取した妊婦は、そうでない妊婦に比べて胎盤の血流が25%減少し、胎児が発達遅延を起こすリスクと関連性があったと結論づけています。
カフェインが胎児に及ぼす影響がどんなものかははっきりしていないものの、胎盤を通して胎児へ作用していることは確実です。2008年の研究結果からも、何かしらの影響を与えていると言わざるを得ません。
妊娠中にカフェイン摂取を控えなければならないのはそのためです。
カフェインの場合
カフェイン摂取による妊娠出産への影響は研究過渡期にあるため、日本国内では妊娠中の摂取量の規定は存在しません。
代わって、海外で公表されているカフェイン摂取量の目安をご紹介します。英国食品基準庁ではカフェイン200㎎、カナダ保健省ではカフェイン最大300㎎です。オーストラリア保健・食品安全局もカナダ同様カフェイン最大300㎎。
レギュラーコーヒー100mlあたりのカフェイン量は40〜80㎎程度です。1杯150mlとすると、だいたいコーヒー1〜2杯程度であれば妊娠中でも飲むことができると規定している国が多いようです。
コーヒーには、その香りと苦味や酸味の刺激がリラックス効果をもたらすという研究結果もあります。
適度な量を摂取して、上手にリラックス効果も取り入れられると良いですね。
カフェイン・アルコール・タバコは赤ちゃんに良くないということはわかるけれど、辞められない…そんな方は次の方法を試してみてはいかがでしょうか。
カフェインが辞められないあなたにはコレ
- カフェインレス・カフェインカットの飲料を飲む
- コーヒーにミルクを足して薄める
- カフェイン量の少ない紅茶やココアに変える
この他にも、コーヒーの代用としてたんぽぽコーヒーという飲料があります。香ばしさやほろ苦さなどコーヒーと似た味わいを楽しめるそうですよ。