意外と知らない!今一番赤ちゃんに安心して使える虫除けスプレーってなに?
2017/06/04
やっと生まれてきてくれた赤ちゃん。日々の成長に嬉しくなりますね。そんな大切な存在だからこそ、肌に使う物にこだわってあげたい!という気持ちは当たり前です。赤ちゃん専用の商品を使ってみたり、子どもの為に手作りしてみたいと考えることがあると思います。
安心な物だと思って使っているのにもしかしたら危険な成分が入っているかもしれません。より安全な虫除けと危険な虫除けを見分けられるように、わかりやすく徹底解析していきます。
このページの目次
なぜ赤ちゃんが大人より虫に刺されやすいのか
赤ちゃんは大人より先に虫に刺されることがよくあります。ここではとくに身近な「蚊」についての虫刺されを解説します。
蚊がターゲットにする人の特徴4つ
- 二酸化炭素が多い
- 汗の臭いや体臭
- 体温の高さ
- 服や肌の色
上記4点のうち、赤ちゃんにあてはまる項目について詳しくみていきましょう。
1.二酸化炭素の量
私たち人間は、呼吸することによって酸素などを取り込み、二酸化炭素などを吐き出しています。赤ちゃんと成人の呼吸数の違いを確認してみましょう。
一分間あたりの呼吸数
新生児(生後すぐ~生後28日目) | 40~50回/分 |
乳児(生後29日目~1歳未満) | 35回/分 |
幼児(1歳~小学校入学前) | 25回/分 |
成人 | 12~16回/分 |
表を見てわかるように、小さい赤ちゃんほど呼吸数が多くなっています。つまり、小さい赤ちゃんほど二酸化炭素を吐き出す量が多いのです。よって、蚊に好まれやすい理由の1つとなります。
2.汗の臭いや体臭
汗の役割の大半は、体温調節の機能です。子どものほうが体温が高いから体温調節のために汗がたくさん出るんだ、というのも間違いではありません。もうひとつ理由があります。汗を出すために皮膚に存在する汗腺ですが、成人と赤ちゃんの汗腺の数は変わらないのです。
エクリン腺は、能動汗腺、不能汗腺として分けることができます。汗を分泌する機能をもっ汗腺を能動汗腺と言います。形態的には正常ですが、この分泌機能を持たない汗腺を不能汗腺と言います。しかし、一般に汗腺と言えぽ能動汗腺のことを指します。この汗腺の能動化は、胎生第28週頃から生後半頃までとされています。したがって、この時期に決定された能動汗腺数は、一生変わらないといわれています。
引用元:汗ものがたり - 大阪市立大学機関リポジトリhttp://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/infolib/user_contents/kiyo/DB00011340.pdf
上記のように、汗腺の赤ちゃんの時期の汗腺の数は大人になっても変わりません。しかし大きく違うのは、体の大きさ。例えば手の大きさを比べてみてください。赤ちゃん小さい手の中に、私たちの手と同じ数の汗腺がひしめき合っています。
ですので、赤ちゃんは大人と同じ量の汗をかいても、びっしょりになってしまうのです。また汗は基本無臭ですが、汗をかいたままにしておくと毛穴に存在する雑菌が繁殖しやすくなったり、皮脂の分泌物が多くなりにおいを発生させやすくなります。
よって、汗をたくさんかく赤ちゃんは蚊の好む汗のにおいを発生させやすいのです。
3.体温の高さ
子どもの平熱は大人より高いのが普通です。37.6度以上で発熱という判断です。子どもは皮膚がまだ薄いため、大人より体の深部の温度が伝わりやすくなります。大人になるにつれて皮膚がしっかり作られてくると、体温も下がってきます。
小学生になるころには、37.0度以上が発熱と判断されるようになります。抱っこして近くにいるのに子どものほうが虫に刺されやすくなるのは、この理由からなのです。
虫に刺されたときに腫れるのはなぜ?
刺された虫の種類によって気づかないほどのことだったり、すぐに大きく腫れたりしますよね。刺されたときは何ともなかったのに、次の日に心配になるほど赤くなり、熱を持つこともあります。年齢によって反応に違いがあるのでしょうか。
腫れるのは虫の毒が体に入ったことで起こるアレルギーの一種
腫れる原因になる虫は日本に何種類も生息します。代表的な虫は蚊ですが、蚊以外にもアリやハチ、ダニ・ブヨ。珍しいものにはチョウやガの幼虫もいます。刺されたり触れたりするだけで毒の針を出し、その針が刺さることで体内に侵入してきます。チクッと感じることもあれば、いつの間にか刺されていたということもあります。
その毒が体内に入ると、異物としての攻撃が始まり体の中で戦いが始まるのです。戦っているときは「炎症」という状態になり、戦場となる場所が熱を持ちます。そして腫れるのです。
アレルギー反応の時間差攻撃
アレルギー反応は刺されてすぐに症状が出る「即時型」と、1~3日後に症状が出る「遅延型」とがあります。アレルギーと戦ってくれる体の中の役割分担があるからです。この反応の違いは年齢によって変わってきます。
即時型と遅延型アレルギーの年齢による違い
- 0~6歳頃…遅延型
- 7歳頃~25歳頃…即時型・遅延型
- 25歳頃~60歳頃…即時型
- 65歳以上…反応なし
蚊に刺された場合の経時的なアレルギー反応の出方を説明します。(1)初めて刺されたときは、唾液に対するアレルギー反応を生じないため無反応ですが(乳児期)(2)その後、まず遅延性反応が出現し(幼児期)(3)ついで即時型反応が出現するようになります(~成人)(4)さらに刺され続けると遅延型反応は減弱し(~中高年)(5)さらには即時型反応までもが減弱して、最終的には蚊に刺されても無反応になります(~更年期)
引用元: 沖縄県医師会http://okinawa.med.or.jp/html/kouho/gusui/2015/0710.html
赤ちゃんは刺されていたのにすぐに痒がったりしないのはこの為です。
市販の虫除けスプレーは安全?
市販の虫除けスプレーはどれを選べばいいかわからないほど、たくさんの種類が並んでいます。ベビー用の物やオーガニックと表示されている物もあります。選ぶときの基準として、安全な虫除けスプレーはどれでしょうか。大人でも肌に使うのに抵抗があるような成分が入っていることをご存知ですか?
農薬の成分「ディート」で虫除け
ご家庭にあったり、薬局に並んでいる虫除けスプレーの成分表示を見たことはありますか?ほとんどカタカナの文字ばかりなのですが、確認したいのは「ディート」という文字です。
このディートは元々アメリカで軍事用として開発された成分です。ジャングルで戦う軍隊がマラリアなど生死に関わる病気の原因になる虫に、刺されないようにするためです。
ディートはジエチルトルアミドと呼ばれる成分名で、ホームセンターでは園芸用農薬として販売されています。殺虫の役割ではなく、虫をよけつけないようにする忌避の役割で使用されます。蚊やダニに対しての効果が高く、蚊やダニの触覚を麻痺させて人間の皮膚がわからないようにしてしまうのです。
ディートはどれぐらい危険なのでしょうか。
日本国内で販売される製品のディートの最大濃度は12%となっています。今は日本でもネットで海外の商品が手に入りますが、調べてみるとディート98.1%といった高濃度の商品もありました。
リオオリンピックでは選手村でジカ熱対策として約34%の濃さで配合された、ジェルタイプの虫除け製品が配布されました。そんな中、日本の厚生労働省はディートを使用した商品に添付する文書に以下のような措置をとっています。
添付文書、外部の容器等に記載の<用法・用量に関連する注意>を、次の内容が含まれるよう改訂すること。
〇小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
・6か月未満の乳児には使用しないこと。
・6か月以上2歳未満は、1日1回
・2歳以上12歳未満は、1日1~3回
引用元:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html
ここで気になるのは
- 顔には使用しないこと
- 6か月未満の乳児には使用しないこと
この2つです。しかしベビー用の虫除けを探してみると、少なくなったとはいえディートを使用した商品を見かけます。また、蚊などの触覚を麻痺させる虫除け効果から、神経への影響も全くないというわけではありません。動物実験でも神経性毒が見られたという報告結果がありました。
副作用の報告資料も発表されており、少し古いデータですが平成17年~21年までの4年間で172件報告があがっています。(厚生労働省:国内における副作用等の発生状況、安全性に関する 国内外の研究報告等の状況http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/06/dl/s0608-5h.pdf )
一番多いのは皮膚での副作用になっており、発赤・湿疹次いでただれ・発疹などの症状が出ています。虫に刺されないための虫除けで、一番刺されたくない顔に使用出来なかったり、副作用で発赤や痒みが出てしまうのはつらいですね。
今や常識?精油で虫除けアロマスプレー
精油を使用して自分で虫除けアロマスプレーを作ったり、精油を使った虫除けグッズが増えてきています。精油は植物から抽出した香り成分ですが、その香り成分は植物が害虫などに食べられたりしないように、身を守るための武器なのです。
その力を借りて虫を寄せ付けないようにします。植物によって害虫となる虫は異なりますので、一種類の精油ですべての種類の虫には対応できません。ではどのような精油が虫除けに適しているのか、どの精油を選べば安全なのかみていきましょう。
虫除けに使う精油はブレンドする
虫除けにオススメの精油は有名なものから、あまり知られていないものまで約10種類ほどあります。
虫除けにおすすめの精油
- シトロネラ
- ラベンダー
- ペパーミント
- ゼラニウム
- レモングラス
- レモンユーカリ
- ローズマリー
- ユーカリ
- ニーム
- シダーウッド
- ティートリー
精油はネットや雑貨屋さんなどでよく販売されていますが、「肌につけないでください」と注意書きがされている芳香用の精油もありますので気をつけてください。虫除けとして使用する精油は、アロマ専門店での購入をおすすめします。
精油を使用するときは、一種類のみ使用するのではなくブレンドするほうがおすすめです。虫も香りの好き嫌いがありますので、たくさんの種類を使用するほうがよけていく虫の種類が増えていきます。しかし、植物だから天然成分で安心といえるのでしょうか。
赤ちゃんには使うと危ない精油があることを知っていますか?
精油の成分は、お薬の元になっている成分を含みます。精油の中の一部の成分が体の中で作られるホルモンと同じような働きをするという研究結果が発表されています。
【0011】
本発明者は、特定の精油がエストロゲン様作用を有することを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0012】
本発明のエストロゲン様作用剤は、タイムオイル、ゼラニウムオイル、クラリセージオイル、ニアウリオイルおよびローズオイルより成る群から選択される精油から成ることを特徴とする。引用元:特許公開番号特開2006-241044(P2006-241044A)エストロゲン様作用剤http://www.j-tokkyo.com/2006/A61K/JP2006-241044.shtml
体の中で作られるホルモンはたくさんあり、まだまだ未知数です。ホルモンは体の免疫機能や成長、内臓へ働きかけます。体が完成しきっていない赤ちゃんにとっては、負担になってしまう成分も含まれます。
また精油は植物からの抽出物ですので、花粉症と同じようにアレルギー反応が起こる場合があります。赤ちゃんには注意したほうが良い精油を下記にまとめました。
シトロネラ | イネ科の花粉症がある場合には使用しない。 |
ペパーミント | 神経毒性が報告されている為、未発達の乳幼児や妊産婦、授乳期、てんかんのある患者には使用しない。 |
ゼラニウム | 女性ホルモンに似た働きがある。未発達の女児、女性ホルモン疾患のある場合は使用しない。 |
レモングラス | イネ科の花粉症がある場合は使用しない。 |
シダーウッド | 女性ホルモンに似た働きをする成分を含む。未発達の女児や女性ホルモン疾患のある場合は使用しない。 |
日本では昔から北見のハッカ油が有名で、薬局でも手に入りやすいことから虫除けスプレーとしてよく紹介されています。ハッカ油の中に一番多く含まれる「l-メントール」という成分は、神経毒性があるとされています。
赤ちゃんに使用する虫除けスプレーを作るときは下記6種類の精油を使うほうが安全です。手に入りにくい精油もありますが、比較的安価な精油がほとんどです。
赤ちゃんにも安心な精油
- ラベンダー
- レモンユーカリ
- ローズマリー
- ユーカリ
- ニーム
- ティートリー
精油を使った虫除けスプレーの効果と作り方
香りを使って虫を近寄せないようにしているのが精油ですが、天然の香りの為に長続きしません。30分~1時間程度経ったら、またスプレーを使用するほうがおススメです。しかし虫除けの力は市販の製品に負けません。オーガニックにこだわる農家さんが、天然の害虫除けとして農薬の代わりに使用しているほどなのです。
精油を使用した虫除けアロマスプレー(30ml)の作り方
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使用する無水エタノールも、少量で十分です。精油は水には溶けないので、間接剤としての役割をしてくれます。エタノールが多くなると、皮膚への刺激も強くなります。
精油より安全な天然成分の虫除けスプレーがある?!
精油を抽出するときに作られる副産物であるフラワーウォーター(フローラルウォーターまたは芳香蒸留水)をご存知ですか?有名なものにはローズウォーターやラベンダーウォーターなどがあります。
化粧水の材料として使用されたり、リネンウォーターとしても使われています。このフラワーウォーターは精油に似た成分が含まれていますが、精油より体への働きが優しいとされています。
フラワーウォーターが安全なのは水だから
フラワーウォーターは名前の通り「水」です。精油が水蒸気で抽出されるのですが、そのときに出てくるおまけのようなものでした。精油の生産が始まった当初は、不要な物として廃棄されていたのです。しかしだんだん研究が進むにつれ、商品として出回るようになりました。
フラワーウォーターには精油にあるような強い成分が含まれていない場合も多く、意外に知られていないのですが種類もたくさんあります。また水がベースになっている為、肌への影響も柔らかく精油より成分が薄くなっています。
虫除けにおススメのフラワーウォーター
- ラベンダーウォーター
- ティートリーウォーター
- ユーカリウォーター
- ユーカリレモンウォーター

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ラベンダーウォーター/生活の木(参考価格:1,954円)

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ユーカリレモンウォーター/ケンソー(参考価格:2,376円)

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ニームアロマクリーン(ラベンダー)/ニームアロマクリーン(参考価格:2,768円)
まとめ
多くの虫除け対策がある中、スプレーはとても使いやすいアイテムです。赤ちゃんに使う物には、親にとっては使いやすいより「安心安全」が気になるもの。だからこそ、見極めるポイントや選択肢を知っておくのは大切です。
知っていれば虫の量や種類によって使い分けも出来るようになります。今日のお出かけは強めの虫除けを使用するか、優しい虫除けで十分なのか、判断も必要です。必要なケアで、安心して赤ちゃんと遊べることが一番ですね!