紅茶のカフェインってママと子どもにどういう影響があるの?1日に何杯ぐらい飲める?
2017/06/12
紅茶にはリラックス効果や風邪予防など、体に良い効果がたくさんあります。ただ、カフェインが含まれていることから、妊娠中や授乳中には、胎児や子どもに悪影響があったらどうしようとためらっているプレママとママがたくさんいます。
カフェインは妊娠中や授乳中には良くないと言われていますよね。では、なぜカフェイン摂取は良くないのでしょうか。妊娠中、授乳中には絶対飲んではいけないのでしょうか。
ここでは、紅茶とカフェインについて、そしてカフェイン以外の成分についてお話します。カフェインやその他の紅茶の成分が体に与える影響や効果について知り、紅茶と上手に付き合いましょう。
このページの目次
紅茶ってどんな成分が含まれているの?
紅茶にはカフェインが含まれていることはすでにご存じかと思いますが、その他にはどういう成分が入っているのでしょうか。まずは紅茶の主な成分と、それらが人体に与える影響についてみていきましょう。
主な紅茶の成分5つ
- カフェイン
- タンニン
- 紅茶フラボノイド
- ビタミン類、アミノ酸
1.カフェイン
カフェインには覚せい作用があり、集中力がアップするほか、血管の収縮を促すので疲労回復効果もあります。
ただし摂取しすぎると神経過敏や睡眠障害などの症状を引き起こします。
2.タンニン
ポリフェノールの一種で、一緒に摂取するとカフェインと強く結合するという特徴を持っています。体に吸収される前にタンニンと結合する為、体に影響を与えるのを防ぐ効果があります。一方で鉄分の吸収と胎児の成長に不可欠な葉酸の働きを阻害する作用があります。
3.紅茶フラボノイド
テアフラビンという成分が含まれており、抗酸化作用、殺菌作用があるため風邪の予防になります。また、抗酸化作用により生活習慣病や老化の予防にもなりますし、メラニン色素生成を防ぐ効果があるため美容にも効果的です。
4.ビタミン類、アミノ酸
ビタミンB1、B2、ナイアシンが含まれ、抽出液にも多く溶け出ています。これらは代謝を助け体調を整えてくれます。またカルシウムも含まれているため体の成長のサポートもしてくれます。
テアニンと言うアミノ酸物質は鎮静作用がありリラックス効果があります。
母体、胎児、乳児に対するカフェインの影響
妊娠中や授乳中はカフェインを控えなければいけないと言われていますが、実際には母体や胎児、乳児にはどういう影響があるのでしょうか。
母体に与える影響
妊娠中にカフェインを過剰摂取すると、下記のような影響があります。
母体への影響
- カルシウムを尿から排出してしまうため、骨粗しょう症のリスクが高まる
- 胃液の分泌を活発にするため、胃液が逆流しやすく胃もたれしやすくなる
紅茶にはカルシウムも含まれていていますが、カフェインの含有量が100mlあたり30gであるのに対し、カルシウムの含有量は100mlあたり1gと少量です。
ですから「カフェインの過剰摂取によるカルシウムの排出>紅茶を飲むことにより得られるカルシウム」となるため、紅茶に含まれるカルシウムの量だけでは骨粗しょう症のリスクは回避できません。
厚生労働省がカルシウムの尿中排泄量や、妊婦・授乳婦:付加量(推定平均必要量・推奨量)をホームページ上に乗せています。カフェインの過剰摂取による排出量の増加量に関しての記述はありませんが、目安として参考までにご覧ください。6. 1. 3.カルシウム(Ca)
また、タンニンの効果により鉄分の吸収が妨げられ、貧血になりやすくなります。
胎児に与える影響
母親がカフェインを過剰摂取すると、体内にいる時だけでなく生まれてからも子どもに悪影響があります。
胎児への影響
- 未熟児になる危険性が高まる
- 流産・死産の危険性が高まる
- 興奮作用の影響で生まれてから落ち着きがなかったり寝つきが悪い子どもになる
未熟児や流産、死産の危険性というのは、カフェインの過剰摂取で母体の血管が収縮され、胎盤への血液量が減少するために起こります。
乳児に与える影響
授乳中に摂取したカフェインのうち、約1%が母乳を通じて子どもの体へいきます。体内にカフェインが取り込まれた乳児には次のような影響がでます。
乳児への影響
- 落ち着きがなくなかなか寝ない
- 喜怒哀楽が激しくなる
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が高まる
乳幼児突然死症候群(SIDS)については、原因ははっきりとは分かっていませんが、カフェインを過剰摂取していると発症の可能性が高いと言われています。
妊娠中、授乳中は1日にどのくらい紅茶を飲める?
紅茶に含まれるカフェインにより母体や胎児、乳児にさまざまな影響が出ることは分かりましたよね。では、どのくらい紅茶を飲むとカフェインの過剰摂取となるのでしょう?
紅茶には100mlあたり約30gのカフェインが含まれています。ティーカップの量が1杯でおよそ180mlなので、紅茶1杯飲むと約54gのカフェインを摂取することになります。これをふまえて、1日に飲める紅茶の量を見てみましょう。
日本では明確に基準を定められていないので、世界の各機関が出している妊婦、授乳婦の1日当たりのカフェイン摂取の目安を見て下さい。
世界の各機関のカフェイン摂取量の目安からみる、1日に飲める紅茶の量
WHO(世界保健機関) | オーストリア保健・食品安全局 | 英国食品安全庁 | カナダ保健省 | 欧州食品安全機関(EFSA) | |
妊婦 | コーヒーカップ3~4杯 | 300ml | 200ml | 300ml | 200ml |
授乳中 | 300ml | 300ml | 200ml |
これらを見ると、妊娠中も授乳中も多くて300mlはカフェインを摂取できることが分かります。紅茶1杯のカフェイン量が54gなので1日約5杯程度なら飲んでも問題ないと言えます。
水出し紅茶について
アイスティーを飲みたい時には水出し紅茶を作るのもおすすめです。というのも、カフェインは水に溶けにくい性質があるので、お湯で抽出するよりも水出し紅茶の方が同じ量を飲んでもカフェイン摂取量が少なくなるからです。
お湯で作った紅茶を水で薄めてもカフェインの量は減りますが、味が薄くなってしまうため紅茶の味をしっかり味わいたいのであれば水出し紅茶がおすすめです。
紅茶のお菓子は食べてもいい?
紅茶葉を使ったお菓子の場合はどのくらい食べても良いのかというと、健康な成人で茶葉5g程度が目安なので、妊娠中、授乳中でしたら半分の2.5g程度を目安にしてください。
レシピサイトで紅茶のお菓子のレシピをいくつか見た結果、クッキーだと30枚程度、シフォンケーキ(15㎝型は)半分、マフィンは3個ぐらいがティーパック1袋分(約2g)で作られているようです。暴食しなければ紅茶のお菓子も普通に食べて大丈夫ですよ。
ただし、紅茶のおともに紅茶のお菓子を食べるとカフェイン量は当然増えますので気を付けて下さいね。
授乳中の紅茶を飲むタイミング
紅茶の1日に飲める量は1日5杯程度ですが、授乳中には飲むタイミングにも気を付けて下さい。
カフェインは摂取から排出まで、大人で約5時間かかります。ですから、飲むのであれば授乳直後、次の授乳まで5時間程度は空くタイミングで飲むのが理想です。
紅茶の効果
紅茶のカフェインやタンニンは妊娠中、授乳中に良くない影響もありますが、適量であれば心と体に良い効果をもたらしてくれます。
紅茶の効果を見てみましょう。
紅茶の効果4つ
- リラックス効果
- 風邪予防
- 美肌効果
- 疲労回復効果
1.リラックス効果
テアニンと言うアミノ酸が興奮や緊張を鎮めリラックス効果が得られます。また、紅茶の香りには脳にα波を出す作用があり、香りを嗅ぐだけでもリラックス効果があります。
育児でストレスや不安を感じている時に飲むと気持ちが落ち着きますよ。
2.風邪予防
紅茶フラボノイドの抗酸化作用、殺菌作用があるため風邪の予防になります。飲むだけでなく、紅茶でうがいをすると喉の殺菌にもなるので、風邪の引き始めや喉が痛い時には紅茶うがいもおすすめです。
妊娠中、授乳中は風邪薬も飲めないので、紅茶で風邪を予防しましょう。
3.美肌効果
テアフラビンという紅茶フラボノイドには抗酸化作用があり、美肌にも効果があります。抗酸化作用とは肌の老化の原因と言われている活性酸素をやっつけることを言います。ちなみにテアフラビンは紅茶の色素を決定する成分で、紅茶の赤い色はこのテアフラビンの色なんですよ。
妊娠中、授乳中はホルモンバランスの乱れやストレスから、肌荒れを起こしやすい時期でもあります。ストレスは活性酸素を増幅させてしまいますので、紅茶を飲んで体内も気持ちもリフレッシュさせましょう。
4.疲労回復効果
これはカフェインの効果です。カフェインが脳を覚醒させ、眠気覚ましや集中力アップにつながるとともに、筋肉収縮効果で疲労が回復します。
妊娠中、子育て中はとにかく疲れがたまります。紅茶を飲んで疲れを取りましょう。
ノンカフェイン・カフェインレス・デカフェの違い
紅茶は飲みたいけど、カフェインを摂取することにどうしても抵抗がある場合は、カフェインをほとんど含まない紅茶も出ていますので、それらについてお話します。
ノンカフェイン紅茶・カフェインレス紅茶
ノンカフェインとは、もともとカフェインがゼロのものです。
最近はノンカフェイン紅茶というものが良く売られていますが、紅茶葉にはもともとカフェインが含まれているので、厳密にいうとノンカフェイン紅茶というものは存在しません。
そしてカフェインレスとは、カフェインが少しだけ(EUの基準で0.1%未満)含まれているものです。ものすごく薄い紅茶であればカフェインレス紅茶というものが存在するかもしれませんが、おそらくほぼ水の味でしょうね。でも売られているカフェインレス紅茶はちゃんと紅茶の風味がありますよね。
では、売られている紅茶は一体何なのかというと、これらはすべて「デカフェ紅茶」と一緒だと言えます。
デカフェ紅茶
デカフェとは、もともとカフェインが含まれているものからカフェインを除去したものです。カフェインがゼロになるわけではなく、ほんの少し残っています。カフェインの残量については除去する方法や工程により違いがあります。ただし、人工的にカフェインを除去するので、その過程で風味や味が損なわれることもあります。
紅茶で言えば香りが薄くなったり渋みが減ったりしますので、本来の香りや渋みを楽しみたい時には不向きです。ですが最近除去技術も進歩しているので、全く違う味になることはありません。紅茶気分を味わうには十分です。
デカフェ紅茶は紅茶専門店だけでなく、スーパー等でも売られていますし、インターネットでも購入できます。たくさんの種類が売られていますのでいろいろ試して、好きな味を見つけるのも楽しいですよ。
まとめ
紅茶は飲み過ぎなければ子どもへの悪影響はありません。それどころか、適量であればプレママやママにとって、心身ともに良い効果がたくさんあります。
妊娠中はお腹が大きくなるにつれて体が疲れやすくなったり肌荒れがひどくなったりします。授乳中は疲れがたまり、育児に追われ気持ちが不安定になることもあります。
そんな時には紅茶を飲んでホッと一息、リラックスタイムを作りましょう。