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授乳中だけど刺身や寿司を食べたい!赤ちゃんへの影響は?食べてもリスクが低いネタは何?

   

「妊娠してからずっと我慢してきたけれど、そろそろ刺身や寿司を食べたいな。」と思うことはありませんか?でもそんなときでも、ママはやっぱりお子さんへの影響を考えますよね。

「もし子どもが母乳を飲まなくなったら…。」

「どのネタなら影響が少ないかな…。」

そんなママたちの不安を少しでも減らすため、筆者が授乳中に刺身や寿司を食べた場合の赤ちゃんやママへの影響と、食べるときに気を付けることについてお医者さんの著書や国家機関の情報を参考にまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。


母乳を通して赤ちゃんに届く水銀の量は心配ない

魚や貝などの魚介類は栄養が豊富な食材ですが、多くの魚介類は微量の水銀を含んでいます。妊娠する前までは気にせずに魚介類を食べていた人も、授乳中のママには母乳を通して赤ちゃんに影響がないか心配なママもいるのではないでしょうか?

厚生労働省のデータをもとに魚介類を食べる前に赤ちゃんへの水銀の影響を確認しておきましょう。

安心して刺身や寿司を食べるために知っておくべき2つのこと

  1. 母乳を通して赤ちゃんに届く水銀の量は心配ない
  2. 心配な人はマグロを避けよう

1. 母乳を通して赤ちゃんに届く水銀の量は心配ない

厚生労働省はメチル水銀の毒性や魚介類に含まれる水銀濃度についてのデータから、平成15年に妊婦の魚介類の食べる量について注意事項を発表しています。

その際に、授乳中のママについては以下のように発表しています。

食品健康影響評価では、母乳を介して乳児が摂取する水銀量は低いことが示されています。このため、授乳中の母親は今回の注意事項の見直しにおいても対象としていません。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/051102-1.html

上記のように、ママが魚介類を食べることで赤ちゃんに届く水銀の量は少なく、心配がないことが発表されています。

2. 心配な人はマグロを避けよう

母乳を通して赤ちゃんに届く水銀の量は心配ないとわかっていますが、それでも心配な人はマグロは避けるようにしましょう。

厚生労働省による魚介類に含まれる水銀の量の調査によると、魚の中でもマグロは比較的水銀の量が多いとわかっています。ただし、マグロの中でもクロマグロ(本マグロ)、ミナミマグロ(インドマグロ)、メバチマグロは注意が必要ですが、キハダマグロやメジマグロ、ツナ缶は水銀の量が少ないため、心配ありません。

しかし、刺身や寿司を食べるとき、どの種類のマグロなのかわからない場合はマグロは避けた方がいいでしょう。

「イクラやトロで母乳が出にくくなる。」は迷信

「授乳中にカレーのような脂質の多いものを食べると母乳の出が悪くなる。」という話を聞いたことがあるママも多いでしょう。文部科学省の日本食品成分表によると刺身や寿司のネタの中ではイクラやトロが脂質が多いです。

刺身、寿司ネタに含まれる脂質の量

刺身、寿司のネタ 100gあたりに含まれる脂質の量(g)
クロマグロ(赤身、生) 1.4
ヒラメ(天然、生) 2.0
真鯛(天然、生) 5.8
はまち(養殖、皮なし、刺身) 12.0
あなご(蒸し) 12.7
イクラ 15.6
トロ(クロマグロの脂身・生) 27.5

参考:文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂) 第2章 日本食品標準成分表」

では刺身や寿司を食べるときにはイクラやトロのような脂質が多いネタは避けるべきなのでしょうか。2児のママで小児科医の森戸やすみ先生の著書を参考に確認しましょう。

イクラもトロも安心して食べてもいい3つの理由

  1. 食べ物の栄養が通る血管と母乳が通る血管は違う
  2. たった1日の食事では母乳の質は変わらない
  3. 母乳がドロドロになるかは授乳中より妊娠中の食事による

1. 食べ物の栄養が通る血管と母乳が通る血管は違う

ママたちが食べたものの味や成分が母乳にそのまま出ると思われがちですが、実は医学的な根拠はありません。さらに、食べ物の栄養は通る血管と母乳が通る血管は異なるため、母乳は食べ物の影響は受けないと言えます。

食べ物の栄養の通り道と母乳の通り道

食べ物の栄養 母乳が作られるまで
食道、胃、腸などの消化管で消化される

デンプン(ごはん、パンなど)⇒糖

タンパク質(魚、肉など)⇒アミノ酸

脂肪(バター、油など)⇒脂肪、グリセロール

内胸動脈と側胸動脈から乳腺体に血液が送られる
それぞれの栄養は下記の流れで心臓に送られる

糖・アミノ酸:肝門脈⇒肝臓⇒肝静脈⇒心臓

脂肪:リンパ管⇒胸管⇒静脈⇒心臓

乳腺体で母乳を作る
すべての栄養は心臓から全身へ送られる

消化された栄養を運ぶ肝門脈やリンパ管は母乳を作る乳腺体や母乳のもととなる血液が通る血管にはつながっていないので、母乳に食べたものの成分が入るわけではありません。

2. たった1日の食事では母乳の質は変わらない

母乳の質はちょっとしたことでは変わらないということを、小児科医の森戸やすみ先生が著書の中で説明しています。

母乳の恒常性(周囲の環境が変化してもいつも同じ状態を保てること)はどのくらい保たれるかというと、栄養状態が違う北欧とアフリカの母親の母乳を分析して比べた結果がほぼ同じであったほど。母体には本来、自分の体を犠牲にしてでも母乳の量と成分を維持する保証機構があるんですね。だから、少し栄養が不足していてもほぼ同じ結果になったわけです。

引用元:森戸やすみ(2013)『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』株式会社メタモル出版.

つまり、刺身や寿司を1日食べたからといって母乳の成分が変わることはなく、アナゴやトロ、いくらのような脂質が多いネタを食べても問題ないということがわかります。

ただし、前述したように水銀が気になるママはトロは避けましょう。

3. 母乳がドロドロになるかは授乳中よりも妊娠中の食事による

母乳中の脂肪濃度、つまりドロドロになるかは授乳中のママの食事よりも妊娠中のママの最大体重時のBMI値が関わっているとわかっています。つまり妊娠中に高カロリーな食事をしていると母乳がドロドロになりやすいということです。

授乳中の食事は母乳に影響を与えないので、脂質が多いネタでも安心して食べることができます。

カレーや青魚で母乳のにおいが変わっても赤ちゃんには関係ない

「カレーのようなにおいが強い料理を食べると母乳が臭くなる。」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。赤ちゃんへの影響を心配して、カレーやにんにくを使った料理を避けているママもいるかもしれません。

では、においの強い青魚やカレーを食べることで赤ちゃんにどんな影響があるのでしょうか。

医療に関する情報を配信しているMRIC by 医療ガバナンス学会のメールマガジンをもとにまとめました。

においが強いものも気にせず食べるために知っておきたい2つのこと

  1. ママの食事で母乳のにおいは変わる
  2. 母乳のにおいが変わっても赤ちゃんには影響なし

1. ママの食事で母乳のにおいは変わる

モネル科学感覚研究所のMennella博士が、1991年に「ママの食事によって母乳のにおいが変わる」という研究結果を『Pediatrics』誌に発表しています。

<研究方法>

  1. 8人の授乳中のママににんにくエキス入りのカプセル、またはプラセボカプセル(飲んでも安全なデンプンや糖で作られた偽薬)を飲んでもらう。
  2. 前後数時間の母乳を採取してにおいを調べる。また、赤ちゃんの母乳の飲み具合を検証する。

<結果>

プラセボカプセルを飲んだママの母乳のにおいは変化がありませんでした。しかし、にんにくエキス入りのカプセルを飲んだママの母乳からはにんにくのようなにおい、または強いにおいがするとわかりました。

2. 母乳のにおいが変わっても赤ちゃんには影響なし

母乳からにんにくのにおいがしたら、赤ちゃんはきっと飲んでくれないだろうなと思いますよね。しかし上記の研究では、にんにくエキス入りのカプセルを飲んだママの赤ちゃんたちは普段よりもよく飲んでいます。

つまり、母乳のにおいが変わっても赤ちゃんの飲み方には影響がないのです。

赤ちゃんに皮膚トラブルの可能性がある

魚介類にはアレルギーを引き起こす原因となるアレルゲンが含まれています。カニやエビのような甲殻類だけではなく、タコやイカ、貝、そしてすべての種類の魚にもアレルゲンは含まれています。

では、ママがアレルゲン食品(アレルゲンを含む食品)を食べることで、赤ちゃんへの影響はあるのでしょうか。

赤ちゃんをアレルギーから守るために知っておきたい2つのこと

  1. 母乳から赤ちゃんに届くアレルゲンはごくわずか
  2. 心配な場合は食べた後、少しの間ミルクを使う

1. 母乳から赤ちゃんに届くアレルゲンはごくわずか

アレルギーを引き起こす原因となるアレルゲンは、母乳の中にアレルギー症状を起こす濃度の千分の一程度しか含まれません。ママがアレルゲン食品を食べた後に赤ちゃんが母乳を飲んでも、ほとんどの場合アレルギー症状が現れないか、ごく軽い症状しか起こさないことがわかっています。

2. 心配な場合は食べた後、少しの間ミルクを使う

ほとんどの場合は赤ちゃんへの影響はありませんが、心配な場合は刺身や寿司を食べた後、暫くの間はミルクを活用しましょう。ママがアレルゲン食品を食べた後、1時間から5時間程度の間はアレルゲンが母乳に含まれているとわかっています。そのため、その間は母乳ではなくミルクを活用しましょう。

食中毒のリスクがある

刺身や寿司に限ったことではありませんが、加熱していないものは鮮度や管理するときの温度によっては食中毒の恐れがあります。しかし、ママが食中毒になっては子育てにも大きく影響してしまいます。安全に刺身や寿司を楽しむために、できるだけ食中毒を避ける方法を選びましょう。

刺身や寿司を美味しく楽しむために知っておくべき食中毒対策

  1. 夏場は避けて食べる
  2. 新鮮なものを食べる

1. 夏場は避けて食べる

夏場(6月~10月)は食材についている細菌が増殖しやすい気候のため、特に食中毒に注意が必要です。子育てで免疫力が低下しやすい授乳中のママは、より食中毒になりやすいため、刺身や寿司を食べる場合は夏場を避けましょう。

2. 新鮮なものを食べる

食中毒を避けるために、新鮮な刺身や寿司を食べるようにしましょう。もしスーパーで購入した刺身や寿司、仕出し料理に含まれる刺身を食べる場合は購入後、2時間以内に食べるようにしましょう。

まとめ

授乳中に刺身や寿司を食べる場合は、夏場(6月~10月)を避け、体調が良い日に新鮮なものを食べるようにしましょう。

また、ママの食事によって母乳のにおいは変わっても母乳が出なくなることは医学的には確認されていないので、どのようなネタでも気にせず食べて問題ありません。

一番大切なことはママがストレスを抱えないことです。刺身や寿司を我慢してストレスを抱えるのではなく、食べる時期や鮮度に気を付けて授乳中のママも食事を楽しみましょう。

参考:厚生労働省 『妊婦への魚介類の接触と水銀に関する注意事項の見直しについて(Q&A) (平成17年11月2日)』、文部科学省 『日本食品標準成分表2015年版(七訂) 第2章日本食品標準成分表』、森戸やすみ(2013)『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』株式会社メタモル出版、、MRIC by 医療ガバナンス学会のメールマガジン 『Vol.251 母乳の味はお母さんの食事で変わる?』認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)アレルギー支援ネットワーク 『授乳中のお母さんの除去』、農林水産省 『食中毒の原因と種類について』

 

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