【小学校低学年】読書感想文ってどうやって手伝えばいいの?読書感想文を嫌いにならない方法はある?
2017/11/10
みなさん「読書感想文」にどんな思い出がありますか?「何を書けばよいか分からずいつも困っていた」や「苦手で後回しにしがち、嫌な課題だった」という方多いですよね。
漢字の書き取りや計算の様に答えがあるものではないので、子供に助けを求められてもどのように手助けがしてやれるのか分からず本当に困ってしまいます。
本を読むことは好きなのに、感想を書くとなると途端に憂鬱な気分になるお母さん、ここでは「読書感想文」って何か?から書き方の基本的な事柄、少しの工夫で子供と楽しく取り組める方法をご紹介します。ぜひ実践してみてくださいね。
このページの目次
「読書感想文」ってどんなもの?
小学校で課題となる「読書感想文」は「青少年読書感想文全国コンクール」というコンクールに出していることをご存知ですか?もちろんすべての読書感想文を出しているというわけではありませんが、このコンクールへ応募するために課題を出している学校は多いです。
青少年読書感想文全国コンクールってなあに?
このコンクールは公益社団法人全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催しています。今年で63回を数える歴史の長いコンクールです。私たちもこのコンクールに知らぬ間にチャレンジしていたのかもしれません。内閣府・文部科学省も後援として関わっています。
子供たちが読書を通じて「知識」や「感動」「考える」ことをたくさん体験できるように考えられています。
子どもや若者が本に親しむ機会をつくり、読書の楽しさ、すばらしさを体験させ、読書の習慣化を図る。
より深く読書し、読書の感動を文章に表現することをとおして、豊かな人間性や考える力を育む。更に、自分の考えを正しい日本語で表現する力を養う。
引用元:全国学校図書館協議会
どうして読むだけじゃダメなの?
上記開催主旨の中にもありますが、本を読んで感じたことを表現するためには「どのように伝えようか」考えなくてはなりません。書くことで自分の考えを深める訓練ができます。もちろん書くということは「正しい日本語を使う力」が必要ですから「国語力」も鍛えられます。
自分が「インプット(知ったり調べたり)」した情報を考えて整理し「アウトプット(表現・伝達)」するということは、何かを伝えるために生涯大切になってくる力です。
『読んで』『感じたこと』を整理し『書く』という流れになる読書感想文はこの練習をするのにはもってこいだと思いませんか?
国語力との関係でも,既に述べたように,読書は,国語力を構成している「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」「国語の知識等」のいずれにもかかわり,これらの力を育てる上で中核となるものである。特に,すべての活動の基盤ともなる「教養・価値観・感性等」を生涯を通じて身に付けていくために極めて重要なものである。
引用元:文部科学省 これからの時代に求められる国語力について
読書感想文、どうして苦手になるの?
本を読むのが嫌い
元々本を読むのが好きではない人にとって、読書感想文はとても苦痛ですよね。「読まないといけない」と思うとますますやる気もでません。子供たちもそうです。感想文に苦手意識を持ってしまう前に低学年のうちは子供に合った「本選び」を大事にしてください。(後程詳細あり)
指導・添削が難しい
小学生の頃を思い出してください。「読書感想文」の意味や「作り方」について教えてもらったという記憶がある方はあまりいないと思います。作文用紙の使い方など「書き方」は教わったと覚えている方が多いのではないでしょうか?
たくさんの「読書感想文お助け本」が発売されているのも、「読書感想文」を知らない方が多いからです。「読書感想文」は本を読んで感じたことや思ったことを書くので、同じ本を読んでも個人個人で違ったものができあがります。
その子の感性なので「正解」があるものではありません。感想に対して「添削」はできないですよね。「読む→感じる→整理する→書く」という文の作り方に対して子供の年齢に合わせた「指導・添削」をするのが良いのですが、これは大変な作業ですし経験が必要です。
学校や先生の考え、取り組み方によって差がでてしまいます。作文もスポーツと同じで、指導を受けて練習して上達するので、書きっぱなしで上達したのか分からないままではいつまでも苦手な気持ちが残ってしまいます。
読書感想文が得意になる手助け方法
1.本選び
子供の「好き」や「興味」に合った作品か
図書室や図書館に行くと「課題図書」や「おすすめの本」など年齢にあわせた本の紹介があります。もちろんこれを参考にするのもOKですが、これはあくまで「この年齢の子にはこういうことを感じて欲しいな」という大人目線の本。
1番に大切にして欲しいのは子供の「好き」な気持ちや「面白そう」といった直感です。一緒に本を選びながら子供の様子をみてお手伝いをしてあげてください。可愛いイラスト先行でも図鑑の様なものでもいいのです。
ページ数(文字数)が多すぎないか
まだ自分で本を読み始めたばかりの低学年の子供には、文字数が多すぎる本は疲れてしまったり、内容が途中から追えなくなる可能性があります。挿絵が多く文字も大きい50ページまでのものを選んであげるのがよいでしょう。
最初は1度で読み切れる位の本が好ましいです。内容がしっかり分かると本を読む楽しさが生まれてきます。ですが、読書が好きな子供や決まった時間に読書タイムを取っている様なご家庭では100ページ位までのものに挑戦してみるのもいいですね。
2.一緒に読んでみる
低学年のうちは文字もまだ覚束ないので、まずお母さんが読んであげてもいいでしょうし、横に座って子供が読むのを聞いているのもいいです。読むのをサポートしながら、子供が興味を持った場面や気になるセリフなどをお母さん自身メモしておくことをお勧めします。
- 読みながら子供が内容に関して質問してくる
- 「すごいね!」「カッコいい」など感情の盛り上がりが見られた
このような様子がお母さんメモのヒントになります。このメモは後で感想文を書く時に役に立ちますよ。少し長めのお話を選んだ場合、子供の集中力によっては1回で読み切れないこともありますから、メモと同時に付箋を貼っておくアイディアもあります。
次に読み進める時に、この付箋やメモを使って簡単に前のあらすじや場面のおさらいをしておくと子供の頭の中で話がより繋がりやすくなりますよ。子供とコミュニケーションを取りながら読書タイムを楽しむことが大切です。
3.お母さんの質問タイムを作る
本を読み終えたら、上記のお母さんメモを活用して子供にインタビューしてみましょう。インタビューの項目は下記も参考にしてください。子供の話を聞きながらさらに深く質問するとより書きやすくなります。
基本は1回で読んで、質問タイムを作る方が記憶も新しいのでスムーズですが、毎日少しずつ読み進めている様な場合はその都度、もしくは進み方をみてキリが良い辺りで質問タイムを作る工夫が必要です。
内容を思い返し考えることは大切ですが、低学年のうちはできるだけ印象が強い部分を引き出してあげたいので、あまりにも覚えていない場合はその質問を飛ばして、印象に残っている場面を掘り下げてあげられるといいですね。
- どうしてこの本を選んだの?どこが気になった?(イラスト・テーマ)
- 誰が出てきたお話かな?
- (主人公は)どんなことをしたのかな?成功?失敗?
- 好きな(カッコいい)セリフはあった?
- あなたと同じ所はあった?
- 発見したことはどんなこと?(虫や植物など自然科学に関するような本の場合)
- どうしてそんなことをしたのだと思う?
- あなただったらどうする?
子供の答えはメモをしておくといいですよ。質問しながら「なるほどね!」「そう考えたのか~」など共感する声かけは大事です。お母さんもインタビュアーになりきってあげると子供も楽しみながら本の世界をもう一度思い返せます。
4.インタビューを元に感想文をしあげていく
小学校低学年であれば、3つのパート【はじめ】【まんなか】【おわり】をおさえて書くと書きやすくなります。あらすじばかりの作文にならないために先程のインタビューを活用してくださいね。
インタビューの内容を子供と見直して、3つのパートのどこにどんなことを書こうか相談しておくと書き始めやすいです。最初は傍で見守ってあげながら、困ったときにアドバイスをしてあげると安心して進められますね。
【はじめ】で書くこと
本を選んだ理由や簡単な本の紹介などを書くと書きやすいです。文字は120字位が目安です(作文用紙半分位)本のあらすじばかりを書いてしまい、最後にちょこっと「面白かったです」と感想を書く子供が多いです。ここであらすじを書くなら『簡単に』がポイントです。
気になった「セリフ」を最初に紹介するのも面白い【はじめ】方です。本を読むことが好きな子供にはこのような書き出しをアドバイスしてあげるのもいいですね。
【まんなか】で書くこと
感想文の中で1番ボリュームがある部分です。480字位が目安です。ここでは先程のインタビューが大活躍します。余裕があればインタビューでチェックしたセリフなどに付箋を貼っておくといいですよ。
『主人公が「〇〇」と言ったことがとても嬉しくなりました。なぜかと言えば~』という様に本の内容とそれに対して自分が思ったことを書いていく部分です。大切なのは「どうしてそう思ったのか」ということです。
インタビューで聞いた「どうして?」や「共通部分」についての感想を参考に書くとぐっと深くなりますよ。ボリュームも多い部分なので、インタビューで整理したものを時々アドバイスしてあげると最後まで書きやすくなります。
【おわり】で書くこと
【はじめ】と同じくらいのボリュームが目安になります。まとめにあたるパートです。本を読んで強く感じたことや、分かったこと、考えたことなどを書きます。主人公に「~できてよかったね」と声をかけてあげるなど対話で終わるのも素敵ですね。
「僕は〇〇と思ったけれど、先生はどうですか?」と読んでもらう人に呼び掛けてみるのも工夫がある【おわり】方です。たくさん感想がでてきた子供にお勧めです。
題名を考える
よくある「〇〇を読んで」という題名でも大丈夫ですが、気に入ったセリフや主人公のことなど印象に残ったものを題名にしてみるのもアイディアです。他の人も「読んでみたいな」と思えるような題名をつけてあげてくださいね。
5.少し間をおいて読み返してみる
できあがったものを読み返してみましょう。ここでのポイントは「一晩おく」ということです。少し間をおくことで書いている時に気付かなかった間違いに気付くことができます。子供が自分で気付く方が良いので一緒に見直しをして、子供の考えを踏まえながら直す手伝いをしてください。
- 誤字脱字(習った漢字を使えているか)
- 原稿用紙の使い方
- 間違った言葉を使っていないか
低学年ではこのくらいのチェックでよいです。あまり細かく訂正するより、最後まで書ききれたことを認めてあげることが大切です。見直しの習慣は文章を訂正するだけでなく、様々なことを考察する力にもなります。
少しずつでよいので「見直し」「もう一度考えてみる」ことが身に付けばいいですね。
原稿用紙の使い方
基本的な原稿用紙の使い方を紹介します。おさらいに使ってくださいね。例は20×20の一般的な原稿用紙ですが、低学年向けに15×15などの文字数の少ないものもあります。
- タイトル(題名)は上から3マス(長くて入りきらない場合は1マス)空ける
- 2行目に学年と名前。学年、名字、名前の間には1マス空ける
- 1行空けてから本文を書き始める
- 段落の最初は1マス空ける
- 「。」「、」「ゃ、ゅ、ょ、っ(小さい文字)」も1マス使う
- 会話文は行を変えて、「」も1マス使う。「。」と「」は同じマスに書く
- 「、」や「。」が最初のマスに来てしまう時は、前の行の最後のマスに一緒に入れる
参考文献 成美堂出版「読書感想文がスラスラ書ける本」
まとめ
現在は学校も「読み聞かせタイム」を設けるなど様々な工夫をして「読書活動」を見直しています。「読ませる」のではなく「読みたい」気持ちが持てるように先生方も努力をされているそうです。
低学年のうちは親子でコミュニケーションを取りながら「読書感想文」を作っていくことで、作り方や感じたことを整理する方法を覚えていけます。共感の声かけで感想を伝えることに嬉しさや達成感を感じ、得意意識がもてるはずです。