満月、新月は大潮で出産日になることが多い?
2019/02/12
「満月の日には出産が多い」という話を聞いたことのある人もいるでしょう。
出産に月が関係するなんてとても不思議な気がしますが、潮の満ち引きなど、月の存在が地球に大きな影響を与えているのは事実です。
でも、月の満ち欠けや潮の満ち引きが、なぜ出産と関係があるように言われるのか。そして、本当のところどうなのか。
噂の真相を確かめてみました。
このページの目次
満月・新月・大潮って一体なに?
まずは、満月と新月、そして大潮について確認しましょう。
満月・新月・大潮とは
- 満月・・・地球の側に向いている月の全体に太陽の光が当たっている状態。
- 新月・・・地球の側に向いている月に太陽の光が当たっていない状態。つまり月は見えない。
- 大潮・・・1日の潮の満ち引きの差が最も大きくなる状態。
月が光って見えるのは、月に太陽の光が当たっているからです。
月は、約27.3日かけて地球の周りを1周します。地球は、その月を伴いながら約24時間で自転しながら太陽の周りをまわります。
月、地球、太陽の位置関係は刻々と変わります。日々変わっていく月、地球、太陽の位置関係が、月の満ち欠けを私たちに見せています。
下の図にあるように、地球が月と太陽に挟まれた形で一直線に並んだ時、月は満月となります。
この並びがズレていくに伴って、太陽の光が当たっている部分の見え方が変わり、月は欠けたように見えます。
そして、月が太陽と地球には挟まれた形で一直線に並んだ時、地球から見える側には太陽の光は当たらないため、月は見えなくなります。
これが、新月の状態です。
満月から新月に至る期間、新月から再び満月に至る期間は、それぞれ約2週間です。
そして、月の引力によって引き起こされるのが、潮の満ち引きです。月の引力が、地球の海の水を引っ張っているのです。
刻々と変わる月と地球の位置関係が、潮の満ち引きの変化として現れます。
潮の満ち引きの変化が最も大きくなるのを大潮と言い、満月と新月の時がそれに当たります。
満月と新月の時の、月と地球、太陽の位置は一直線になっています。そのため、月の引力が最も強く働き、加えて太陽の引力の影響も受けます。
そのため、最も大きく潮が引かれることになり、干満の差が最大になるのです。
満月・新月・大潮に出産多いと言われるワケ
満月・新月・大潮が出産に関係しているといわれるのは、次のようなことからです。
- 妊婦の持つ羊水が海水と同じ影響を受けている
- 女性の生理周期は月の朔望(さくぼう)周期(月の満ち欠けにかかる日数)とほぼ同じ
妊婦の持つ羊水が海水と同じ影響を受けている
海の水を引っ張ってしまうほどの力のある月の引力。実は、海水だけではなく、地球上のあらゆるものが影響を受けていると考えられています。
固体潮汐(ちょうせき)、または地球潮汐と言って、私たちが生活する大地も周期的に20㎝~30㎝上下しているのです。
この力は当然人間にも影響を与えます。人間は体内は約80%が水分です。妊婦はさらにお腹に羊水があります。
このような体内の水分が、海水と同じように、周期的に引っ張られたりゆるんだりしていると考えられます。
その働きが、満月すなわち大潮の時に最大になり、出産へと導くのだと考えられています。
出産の時期でなくても、お腹が張りやすくなるともいわれます。
女性の生理周期は月の朔望(さくぼう)周期(月の満ち欠けにかかる日数)とほぼ同じ
また、女性の生理の周期は平均28~30日とされますが、これは、月の朔望(さくぼう)周期(月の満ち欠けにかかる日数)29.53日とほぼ同じです。
月は、新月から約2週間かけて満月となり、そこからさらに約2週間で新月となるという周期を繰り返します。
これは、生理が終わって約2週間で排卵し、そこから約2週間で次の生理へ至るという生理周期ととてもよく似ています。
新月や満月のころの排卵は妊娠しやすい、ともいわれます。
この、月の周期と酷似した女性特有の周期が、実際の出産のタイミングにも大きく関係しているといわれています。
満月・新月・大潮の時に出産が多いのは本当なの⁈
出産の現場で働く医師や助産師は、「満月や新月の時には出産が増える」と実感している人は多くいます。
普段多くの出産を見守る助産師さん達の声や実際に満月や新月に出産したママ達の声をまとめてみました
助産師さんの声
- 勤めている産院に潮の満ち引きが一目でわかるカレンダーがはってあり、お産の数が記録してあります。満月、新月の前後はお産の数も明らかに多い
- 満月や新月が近くなると「頑張るぞ!」と思いながら、勤務に入る
- 助産師の間では昔から当たり前のように「満月だから、忙しくなる」と話している
ママ達の声
- 満月に出産しました。私が出産した日、その病院では合計6人の赤ちゃんが生まれ2台の分娩台がフル回転していました。
- 自分は帝王切開だったので関係していないけれど、満月の夜に5人の妊婦さんが産気づいて立て続けて産んでいました。
多くのお産を見てきた産婦人科医竹内正人先生も、やはり月の満ち欠けとお産は深いつながりを持っていると考えているそうです。
「今日は進行中の分娩もないから、と自宅で待機していても、当然ですが、夜中に急に呼ばれることがあります。
そんなとき僕は自転車で病院まで向かいますが、なぜか満月のことが多いんですよ。」と竹内先生。
(中略)
助産師さんの間でも、月の満ち欠けとお産は、大きく関係しているという考えが浸透しているそう。
「私が勤めている産院には”月の満ち欠け”と”潮の満ち引き”が一目でわかるカレンダーがはってあり、その日のお産の数が記録してあります。
それを見ると、やっぱり満月、新月の前後はお産の数も明らかに多いですね。」
引用元:gooベビー 「満月の夜にお産が多い」ってほんとう? より
助産学生です!満月と出産は関係あると現場の人が言っていました☆人間だけでなく動物もそうみたいです。
引用元:YAHOO!JAPAN知恵袋 妊娠、出産 より
アメリカの精神科医師リーバーの調査によると、新月や満月の時の出産は、他の時期の出産より約1割多くなるという結果を、「月の魔力」という著書の中で述べています。
また、この著書を日本語に翻訳した数学者の藤原正彦氏が日本で同様の調査をし、同じ結果を得ています。
そして、偶然このような結果になる確率は2.6%であると計算され、偶然とは考えにくいと結論づけています。
先に挙げたリーバー医師は、「平均妊娠日数265.8日は、月の朔望周期29.53日の約9倍である」という調査結果についても著書に示しています。
これは、妊娠期間を9か月と数えるアメリカの結果で、いわゆる「十月十日」とする日本の数え方と異なりますが、計算上ほぼピタリと合っていることになります。
この調査結果から見ると、月の満ち欠けの周期と出産のタイミングとは関係がある可能性が考えられます。
また、月の満ち欠けと出産との関係は、日本だけでいわれていることではない、ということも分かります。
満月・新月・大潮に出産した体験談
満月・新月・大潮に出産した、という体験談も、多く見ることができます。
私は38週で突然破水し、病院へ。新月2日前に入院し、新月当日に無事出産しました。
助産師さんも、満月・新月・天気が荒れてる時・花火大会などにぎやかなイベントがあるときが、出産ラッシュになるんだよねと言ってました。
うちは二人目はいつ頃かと毎日新聞で調べていました
おしるしは五日前からあり予定日前日の大潮の、満潮か干潮か忘れましたが(新聞の時間しか覚えていないので…)の少し後に陣痛、一時間半後に出産しました
その後は出産ラッシュでしたよ
こうしてみてくると、満月・新月・大潮と出産は大いに関係していると感じられるかもしれません。
しかし、これは科学的に証明されたことではありません。
満月・新月・大潮と出産は関係ないという考え方も
満月・新月・大潮は出産と関係があると感じている現場の医師がいる一方、関係ないと考える医師もいます。
③月の満ち欠けと分娩との関係は?
564039人を調べた研究があります。
月の満ち欠けを8つのフェーズに分けて分析しましたが、どのフェーズでも有意差なく、ほぼ均等に生まれていました。
④潮の満ち引きと分娩の関係は?
313人を調べた研究によると、潮の満ち引きと前期破水との関連は見出せませんでした。
分娩と月の満ち欠けと関係ないようでしたが、どちらも神秘的なものであり、それに関連付けようとしたことは、いくらかロマンのある話ではないかなあと思いました。
「出産が多いなあと思ったら満月だった」という経験があると、それが記憶に残り、次に同じことがあると「ほらやっぱり」と印象が強くなります。
そのようなことの積み重ねで「満月と出産は関係がある」と考えるようになるのではないか、とする捉え方もあります。
先に挙げたリーバー医師の調査についても、偏った調査内容であるという見方もあります。
上記のような医師の意見に加え、先輩ママの体験談にも、全く関係がなかった、というものがみられます。
1人目・・・全然関係なく、41週で陣痛→たまたまその日検診行ったら4㎝開いてて入院して出産。
2人目・・・これも全く関係なく、しかも全然下りてこないから41週予定入院してバルーン→促進剤使って出産。
引用元:mama・sta「満月に出産された方!」より
満月でも新月でも大潮でもない出産の私からのコメント失礼します。
私が通っていた産院では、満月の日に5人生まれたそうです。
(中略)
私も満月の日にちょっと期待していましたが、何事もなく過ぎちゃいました(笑い)
満月・新月・大潮のころと出産が重なったという体験談が多くみられるのは確かですが、関係なかったというものがあるのもまた事実です。
帝王切開など計画的に出産することが増えている昨今、綿密な調査をするのが困難という現状もあります。
現場で働く人の声は真実味があり、軽視すべきではありません。
ですが、「満月・新月・大潮は出産と関係がある」といえる科学的な証明はされていない、ということは知っておきましょう。
月の満ち欠け以外にも・・・出産に関係しているとよく聞く噂
「満月の時は出産が多い」という噂のほかにも、まことしやかにささやかれる噂があります。
それは、「台風の時は出産が多い」というものです。つまり、低気圧が出産に影響を与えているのではないかといわれています。
台風も出産も副交感神経が関係
出産は、自律神経の一つである副交感神経が優位に働いているときに起こりやすいといわれます。
副交感神経は体をリラックス状態にします。筋肉の緊張が緩まれば産道が柔らかくなり、赤ちゃんが出てきやすくなります。
この副交感神経優位の状態は、低気圧が発達しているときにも起こりやすくなります。
低気圧が発達しているときは、天気の悪い時です。どんよりと曇り空で雨が降ったりする天気です。
そのようなとき、私たちの体は「活動するにふさわしくない時」と判断します。
活動的な状態の時に働く交感神経は働かなくなり、副交感神経優位になるのです。
また、気圧が低くなっているときには、体内の水分が低い気圧に引っ張られて外に出ようとする現象が起こります。
血液が影響を受けて頭の血管が膨張すれば、頭痛が起こります。体内の水分が細胞外へ浸透してしまうとむくみを発生させます。
「天気が悪いときは体調が悪くなる」ということを聞いたことのある人は多いでしょう。また、自分自身がそうだという人もいるでしょう。
台風は、まさに低気圧が最大規模に発達した状態です。人体にも強く影響を与えていると考えられます。
妊娠中は、通常の体内の水分に加えて羊水がお腹にあります。副交感神経が優位に働くことに加えて、羊水が低気圧に引っ張られ、出産につながりやすいと考えられています。
以下のような調査結果もあります。
③気圧と分娩の関係は?
2142人の自然分娩を調べた研究によると、1000hPa(つまり低気圧時)に破水が増加する傾向がありました(p<0.01)。
また、1日の気圧の変動が大きくなる(±10.2hPa)と分娩が増える傾向がありました(p<0.01)。
一方、両者には関係がないというデータもあります。
満月・新月・大潮と出産との関係が、明確には解明されていないのと同じように、低気圧と出産との関係も明らかにされていることではないのです。
まとめ
出産を自然現象と絡めて神秘的にとらえるのは、とてもロマンチックです。出産そのものも、自然の摂理にかなったとても神秘的なものでもあります。
ただ、残念ながら今のところは、明確に解明されているものではありません。
生まれる時を楽しみに待ちながら、妊娠生活の最後をリラックスして過ごしましょう。