放っておいたら危険かも!妊娠後期の危険な吐き気の原因と5つの対処法
2017/12/16
妊娠後期に入りお腹もグンと目立つようになり、あと少しで赤ちゃんに会えると思いながら過ごしている時期に吐き気が…。
つわりはだいぶ前に終わったはずなのに、この吐き気は何?頭痛やめまいもするけど大丈夫?こんな症状が出たら、心配ですよね。
今回は妊娠後期の吐き気の原因や対処法についてまとめました!
このページの目次
妊娠後期の吐き気の原因2つ
妊娠28週から36週の間を妊娠後期といいます。吐き気というと、妊娠初期のつわりが思い浮かびますが、実は後期にも吐き気がすることがあります。
では妊娠後期の吐き気の原因はいったい何なのでしょうか?
1.後期つわりによる吐き気
妊娠するとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンの分泌が活発なります。
初期のつわりの吐き気は、このhCGホルモンが脳の吐き気をコントロールする中枢を刺激するために起こるといわれています。
一方後期つわりは、子宮が大きくなることで胃を上に押し上げ、圧迫してきます。このことが大きな原因となり吐き気をもよおすのです。
2.妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)による吐き気
妊娠20週以降産後12週までに高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群といいます。さらに、高血圧のみの場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。
引用元:公益社団法人 日本産科婦人科学会
以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていましたが、ママや赤ちゃんにとって悪影響をおよぼすのが主に高血圧であることから、2005年に「妊娠高血圧症候群」に変わりました。
妊婦さんの20人に1人の割合でかかる病気で、妊娠後期の吐き気はこの妊娠高血圧症候群が原因となっていることもあるようです。
そして主な原因となる高血圧は次のような状態のことをいいます。
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。
放っておいたら危険?妊娠後期の危険な吐き気の影響
妊娠後期の吐き気の原因となっている後期つわりと妊娠高血圧症候群ですが、危険なのは「妊娠高血圧症候群」です。
自覚症状があまりないので、気づいた時には重症化していることも多いようです。妊娠高血圧症候群が重症化すると、次のような影響が出やすくなるので放っておくと、とても危険なのです。
母体への主な5つの影響
1.高血圧
安静時に上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の状態が高血圧です。
重症化している場合は上の血圧が180mmHg以上、下の血圧が110mmHg以上と、とても高くなります。
2.たんぱく尿
1日に300mg~2gのたんぱくが尿にみとめられた場合、たんぱく尿となります。重症化している時は1日に2g以上のたんぱくが出ます。
ただ妊娠中は疲れや風邪、貧血などでも尿にたんぱくが出やすくなります。妊娠高血圧症候群の場合はたんぱく尿とともに高血圧も伴います。
3.子癇(しかん)発作
妊娠20週から分娩期に起こるけいれん発作で、産後の産褥(さんじょく)期に起こる場合もあります。
最悪、母子ともに危険な状態におちいることがあるので、注意が必要です。
4.脳出血
血圧が上がることが原因で脳出血やくも膜下出血が引き起こされる場合があります。脳出血は一刻を争う症状ですので、とても危険です。
5.HELLP症候群
溶血(Hemolysis)、 肝酵素上昇(Elevated Liver enzymes) 、血小板減少(Low Platelet)の頭文字をとって、こう呼ばれています。
簡単にいうと血液が固まりにくくなることで、出血が止まらない状態になり大変危険です。
その他にも肺水腫や肝臓や腎臓の機能障害などのように、様々な危険な症状を引き起こす可能性があります。
赤ちゃんへの主な2つの影響
1.胎児発育不全
高血圧により胎盤の状態が悪くなったり、たんぱくが尿に出てしまい栄養不足となることが原因で、赤ちゃんの発育が悪くなる場合があります。
2.常位胎盤早期剥離による胎児機能不全
赤ちゃんが生まれる前に胎盤がはがれてしまい、赤ちゃんに酸素がうまく行き渡らなくなることが原因で起こります。最悪の場合胎児死亡につながることもあり危険です。
また母体も出血が止まらずに危険な状態になる場合があります。
危険な吐き気、見分ける方法は?
妊娠後期の危険な吐き気の原因が、妊娠高血圧症候群によるものだということはわかりましたが、どのように見分ければいいのでしょうか?
後期つわりと妊娠高血圧症候群の違い
吐き気が強く出る場合、後期つわりと勘違いしてしまうこともあります。後期つわりと妊娠高血圧症候群、それぞれの症状をみてみましょう。
後期つわりの主な症状
- 胸焼け
- 胃痛
- げっぷ
- 胃のむかつき
妊娠高血圧症候群の主な症状
- 高血圧
- たんぱく尿
- 腫れあがるほどのむくみ
- 急激な体重増加
- ひどい頭痛
- 休んでも動悸が治まらない
- 目がチカチカする
後期つわりの主な症状は胃の不調がほとんどです。
妊娠高血圧症候群の場合は、病院での判断基準となる高血圧とたんぱく尿以外に、上記のような自覚症状が出ることが多いようです。
妊娠高血圧症候群にかかりやすい人と「5つ」の対処法
妊娠高血圧症候群は、はっきりとした原因はわかっていないようですが、かかりやすい人はいるようです。
妊娠高血圧症候群にかかりやすい人
妊婦さんの20人に1人がかかるという妊娠高血圧症候群ですが、ではいったいどんな人がかかりやすいのでしょうか?
高年齢、肥満、病気のある妊婦(高血圧、腎疾患、糖尿病など)さん、初産婦さん、前回妊娠高血圧症候群にかかった妊婦さん、前回の妊娠からの期間が5年以上経過している妊婦さん、多胎妊娠、妊娠がわかって初診した時の血圧が高い妊婦さん、感染症(尿、歯周病)がある妊婦さんなどが報告されています。
引用元:日本妊娠高血圧学会 Q&A
以上のような方が妊娠高血圧症候群にかかりやすいといわれています。また年齢については以下のように書かれています。
妊娠高血圧症候群は、35歳以上で発症率が高くなり、40歳以上になるとさらに危険度が高まります。一方、15歳以下でも発症率は高くなります。
引用元:日本妊娠高血圧学会 Q&A
高齢出産(35歳以上の出産)でなりやすいのと反対に、低年齢でもかかりやすいようですね。
また妊娠前から肥満傾向にある人は、発症するリスクが上がります。自分が肥満かどうか下記の計算方法で確かめておくといいでしょう。
BMI 25以上や非妊娠時体重 55kg以上は妊娠高血圧症候群になりやすいといわれています。 なお、BMIは非妊娠時の体重 (kg)を身長 (m)で2回わると計算できます。
引用元:日本妊娠高血圧学会 Q&A
計算式は「非妊娠時の体重÷身長÷身長」となります。
たとえば妊娠前の身長が155cm(1.55m)で体重が53kgの場合、 53÷1.55÷1.55=22.1です。
当てはまるものがある場合は、日頃から体調をよく観察することをおすすめします。
妊娠高血圧症候群を予防する「5つ」の対処法
原因もはっきりしないため、これなら絶対大丈夫!という予防法はないのですが、日頃から気をつけることで高血圧になりにくくすることはできます。
血圧が上がることが一番のリスクになるので、そうならないように普段から気をつけることが一番の予防につながります。
1.塩分を控えた食事を心がける
塩分をとりすぎると高血圧になりやすくなります。普段から薄味を心がけ塩分をとりすぎないようにしましょう。
昆布や鰹などの出汁の旨味、柚子やレモンなどの柑橘類やお酢などの酸味をうまく利用すると、塩分が少なくても満足感が得られます。
また塩分摂取量は1日8g(大さじ1/2)以下を目標にするといいでしょう。
2.体重の増加を防ぐ
体重が増えすぎることも高血圧を引き起こしやすくなります。
初期の健診で出産までの体重増加の限度を教えてもらえますので、しっかり体重管理をして超えないようにしましょう。
妊娠中期から後期にかけて、一週間に0.5kg以上体重が増える場合は要注意です。
簡単で効果的な体重管理
- 食べたものと時間をメモする
- 体重をこまめ(朝・昼・晩など)に計る
食べたものと体重を把握する、これだけでも体重の増減をしっかり意識でき、管理できます。簡単なのでぜひ試してみてください。
3.ストレスをためないようにする
イライラや不安などのストレスも血圧を上げる要因となります。妊娠中の不安は1人で抱えこまずに誰かに相談するようにしましょう。
周囲に相談できる人がいない場合は、下記のような相談窓口を利用するといいでしょう。
相談窓口
- 子育て・女性健康支援センター(日本助産師学会)
- 女性にやさしい職場づくりナビ(厚生労働省・一般財団法人女性労働協会)
また疲れたら休む、家事や仕事など無理をしてストレスをためないようにしましょう。
妊娠中どうやってストレス解消したか、先輩ママさんの体験談があると読者の満足度が上がると思います。(当方がやります)
4.睡眠をしっかりとるようにする
高血圧の原因の1つに睡眠不足があります。睡眠不足には自律神経の乱れが大きく関わっています。
リラックスするには副交感神経の働きが大事ですが、睡眠不足の場合は寝ている間も交感神経が活発に働いてしまい、血圧も起きている時と同じくらい高くなります。
寝る前はリラックスを心がけ自律神経のバランスを整え、よく眠れるよう工夫しましょう。
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5.適度な運動を心がける
体が重くなってくると動くのも一苦労ですが、ゴロゴロしていると太りやすくなります。また適度に運動することで血流もよくなります。
無理をしない程度の散歩などを日頃から取り入れるといいでしょう。中期以降はマタニティヨガなどの運動もできるようになるので、おすすめです。
まとめ
妊娠高血圧症候群は軽度の場合、食事療法や安静にして様子を見ますが、重症の場合は入院や緊急帝王切開となる場合もあります。
後期に入り吐き気がしたら、後期つわりか妊娠高血圧症候群かどうか注意してみてみましょう。
ただ妊婦健診をしっかり受けていれば気づくことがほとんどですので、まずは健診にきちんと行きましょう。