これって大丈夫?母乳に血が混じる原因と混じったときの3つの対処法
2018/02/23
赤ちゃんが吐いた母乳を何気なくぬぐって、母乳に血が混じっていたら、本当に驚きますよね。何かの病気ではないかと考えてしまいますし、このまま赤ちゃんに授乳していいのかも不安です。
けれど、母乳に血が混じる原因は、心配な物とそうでないものがあるんですよ。ここでは、母乳に血が混じった時の原因と対処の方法をまとめました。ぜひ参考にしてください。
このページの目次
母乳は血液から作られる

画像出典元:http://memoru.babymilk.jp/i/kaibou.php
血乳の話の前に、まず母乳の仕組みを解説します。というのも、 おっぱいはママの血液を原料としているからです。おっぱいの土台と言える部分(=基底部)には血液が流れています。
この血液が乳腺という場所で母乳に作り替えられているのです。正常なおっぱいは、お米のとぎ汁のような白色をしていますよね。この理由は血液に含まれる赤血球が関係します。
ところで、血液から作られた母乳が白色なのはその過程において血液中の栄養分や白血球などは取り込まれるものの、赤い色の赤血球は取り込まれないためです。
引用元:ゼロからはじめる母乳育児「母乳ってなに?」より
母乳に血が混じる原因
1.乳首に傷がある
乳首が切れた、乳首に血豆ができて潰れてしまった、下着でこすれる、といった原因で、母乳に血が混じることがあります。赤ちゃんの吸う力は想像以上に強く、授乳が慣れないうちはそれだけで切れてしまいます。
また、乳首の含ませ方が浅く、いつも同じ抱き方で授乳していると、乳首にかかる力が偏ります。その結果、乳首が切れてしまったり血豆ができたりするのです。
2.血乳
乳首に傷がないのに血が混じった母乳が出ることがあります。これを「血乳」と言います。特に妊娠中や産後の数週間に見られることが多く、これを経験している人は少なくありません。
おっぱいを作る乳腺が急激に発達するために起こると言われています。その為、母乳の出が良くなる頃にはたいてい血乳は出なくなり、症状は治まります。
また、自己流のおっぱいマッサージやむやみな搾乳機の使用で乳腺が傷つき、症状が出ることもあります。
3.乳腺炎
乳腺炎とは、乳頭から細菌が侵入し炎症を起こす状態です。乳房の片方のみが炎症を起こすことがほとんどです。乳房が赤くなり、痛みがあり、発熱(38℃)を伴います。産後1ヶ月など退院後しばらくしてから授乳のリズムが変わった時に起こりやすいです。
<要注意な症状>
- 乳房の一部が硬くなって授乳後もしこりが残る。
- 赤く腫れる。痛みを伴う。
- 38℃以上の発熱を伴う。
- 全身的に風邪によく似た症状がある。
母乳育児中のママが最も気を付けている症状のひとつともいえるのが、乳腺炎です。この乳腺炎でもおっぱいの中で化膿がひどくなると、血の混じった母乳が出ることがあります。
4.乳がん
乳頭から血の混じった分泌液が出るのは乳がんの症状の一つです。ただし先に述べたように、母乳の元は血液。授乳中の血乳は珍しい事ではありません。
血乳が出ただけで乳がんと断定はできませんので、他にいつもと違う所ははないか落ち着いて確認しましょう。
【参考】乳がんの初期症状
乳がんの主な初期症状としては、乳房にしこりやくぼみがある、乳房に痛みや熱がある、左右の乳房の位置がずれているなどの症状が考えられています。また、乳房だけではなく、乳首が陥没している、乳頭がただれている、乳頭から出血がある、首やわきの下にしこりがあるなどの症状も乳がんの初期の段階では発生することがあります。
引用元:Doctors me「乳がん」より
原因別の対処法
1.乳首に傷がある時の対処法
抱き方を変える
普段とは違う抱き方で授乳しましょう。この時、赤ちゃんに乳首を深くくわえさせましょう。授乳の抱き方には、横抱き(抱き飲み)・縦抱き(立ち飲み)・フットボール抱き(脇飲み)という方法があります。
抱き飲み
- まず、赤ちゃんを支える土台になるものとして、枕や座布団を2つ折りにしたものなどを、お母さんの膝の上に準備します。
- 土台に赤ちゃんを寝かせ、やりやすい側の手で、赤ちゃんの背中から首もとをすくい上げるように支えます。この時かなり背中をかがめなければならない場合や、首もとを支えている手首が浮いてしまう場合は、支えている手首の下にバスタオルなどを丸めてはさみ、楽な高さに調節します。
- 次に、反対側の手で、乳房から乳首の先端がツンととがるように支えて、赤ちゃんの口にまっすぐ含ませます。
立ち飲み
- お母さんの膝に、赤ちゃんをまたがせるように座らせます。
- やりやすい側の手で、赤ちゃんの背中から首もとを支えます。
- 次に反対側の手で、乳房から乳首の先端がツンととがるように支えて、赤ちゃんの口にまっすぐ含ませます。
※この方法は赤ちゃんの首を支えて深く含ませる練習のためにはわかりやすい方法ですが、手首を支える土台がないので、腕が疲れてくると浅飲みになる場合がありますから注意が必要です。
脇飲み
- まず、お母さんの膝のすぐ横に、膝と同じ高さになるように、枕や座布団などを置いて土台を作ります。
- 1の土台と膝を渡すように、もう1つの土台を置きます。
- 2の土台に赤ちゃんを寝かせ、赤ちゃんの背中から首もとをすくい上げるように支えます。この時、高さの調節が必要ならば、抱き飲みと同じ要領で行います。
- 次に、反対側の手で、乳房から乳首の先端がツンととがるように支えて、赤ちゃんの口にまっすぐ含ませます。
乳首を保湿する
痛みが軽い場合は、授乳の後に乳首ケア専用のクリームを塗って保湿しましょう。赤ちゃん用品の売り場に売っていますが、オリーブオイルでも代用できます。
市販のクリームは、赤ちゃんの口に入っても安心で塗った後そのまま授乳できるものがあります。オリーブオイルを使った場合は、授乳前に拭き取った方が良いでしょう。
傷があまりに痛む場合は、市販のものではなくお医者さんにお薬を処方してもらってください。クリームを塗った上に、小さく切ったラップで乳首全体をパックすると、早い治りが期待できますよ。
2.血乳の対処法
まず2、3日、普段の生活をしつつ様子を見てみましょう。血乳が出る回数が少なく徐々に薄くなっていくのであれば、乳がんなどの別の病気の可能性は低いです。
血乳が1週間以上続く、他に気になる事があるといった場合は、お医者さんに相談しましょう。
3.乳腺炎の対処法
一番の解決策は、たまっている母乳を外に出す為に、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことです。吸わせて乳首や胸が痛んだり、体がきつくてつらい場合は授乳を中断して搾乳しましょう。
またおっぱいが赤くなっている所は、濡れたタオルか冷却シートなどで冷やしましょう。痛みが治まらず高熱が続く場合は、自己判断せず必ず病院に相談してください。
血が混じってる…母乳をあげるのはやめた方がいい?
母乳に血が混じっていても、赤ちゃんには授乳を続けても問題ないと言われています。ただし、赤ちゃんが血乳を吐いてしまう場合があります、この場合、血乳が収まるまで授乳を中断しましょう。
その間は血乳が出ていない方のおっぱいだけ授乳します。授乳を中断する側のおっぱいを搾乳して捨てましょう。
病院にかかった場合、場所によって方針が違うことがありますのでお医者さんの指示に従ってください。また、痛みがひどい場合も1~2日授乳をお休みし、痛みが取れてから授乳を再開すると良いでしょう。
血乳を確認する方法
血乳は赤ちゃんの吐き戻しの他にブラの汚れや、お風呂などで母乳がにじみ出るのを見て気付く方が多いです。出血する場所によって対応が異なりますので、乳首に傷や水ぶくれがないかどうか確認しましょう。
それから、少し絞った母乳も見るようにしましょう。ティッシュで拭うとわかりやすいですね。また、血乳を飲むと赤ちゃんのウンチが黒くなることがあります。その時も、乳首や搾乳した母乳を確認してください。
病院へ行く目安
乳首に傷がある場合、痛みが軽い場合はホームケアで治せることが多いですが、痛みを我慢する必要はありません。傷がひどくなって化膿したり、授乳が精神的な苦痛になる前に病院へ行きましょう。
血乳の場合、回数が少なくて1週間程度様子を見て症状が収まるようであれば、心配ない可能性が高いです。しかし、ママがどうしても心配だったり、他に気になることがある場合は、病院に相談しましょう。
乳腺炎の場合、初めて症状が出た場合や高熱が出ている場合は病院を受診することが望ましいです。どこの病院を受診するか迷ったら、出産した産婦人科へ相談すると良いですよ。
病院や症状によっては、その産婦人科で対応できる場合もあります。
次の症状は病院に相談を
- 傷の痛みが我慢できないほど強い
- 1週間以上血乳が続いている
- 母乳の分泌が安定しても血乳が出る
- 高熱が出ている
まとめ
そもそもの原料が血液である母乳には、異常がなくても血が混じる場合があります。原因はいろいろな場合が考えられるので、血乳以外の症状がある場合は病院を受診すると安心ですよ。
びっくりしてしまうかと思いますが、まずは落ち着いて症状を確認してくださいね。