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卵管炎の原因と治療法は?卵管炎になると不妊になる?

      2016/12/14

急な腹痛、急な吐き気は誰でも経験したことがあると思います。しかし、ただの腹痛と思って放置しておくと大変なことになってしまう病気があります。その一つが卵管炎です。卵管は受精卵を子宮へ運ぶ上で極めて大切な役割を果たす臓器です。卵管が炎症を起こすと不妊につながったり、子宮外妊娠を引き起こしたりして、女性の人生や身体の安全に暗い影を落としてしまいます。

卵管炎は様々な細菌や理由から発症してしまうのが怖いところ。自覚症状がないまま進行し、気が付いた時には手術が必要な状況になっている…なんて絶対に避けたいですよね。今回は卵管炎への理解を深めるために、その原因と症状、治療法や不妊との関係についてご説明します。

卵管炎とは?

 

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卵管とは女性の骨盤内の臓器の一つで、子宮と卵巣をつなぐ管のことです。卵管は長さは個人差はあるものの10cm程度、管の内側の直径は1mm程度の細い管です。子宮側の卵管からくる精子が、卵巣側の卵管からくる卵子が出会い、受精卵となります。卵管はこの受精卵を子宮に届ける役割を果たしています。

卵管はどうして炎症を起こしやすいのか?

卵管は女性器の中で炎症の起こしやすい部位の一つです。なぜなら、卵管は子宮・膣を通じて外界と通じているためです。性行為等の機会に、手や男性器に付着した菌が膣を通じて侵入することで、炎症を引き起こします。また女性器は相互につながっているため、卵管の感染が子宮や卵巣へと拡がりやすいという特徴があります。

子宮内膜が炎症を起こせば子宮内膜炎、卵巣が炎症を起こせば卵巣炎となり、卵管炎を含めこれらの炎症による疾患は骨盤内炎症性疾患と呼ばれます。

卵管炎の原因は?

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卵管の炎症はどのような原因菌によって引き起こされるのでしょうか。

1. 常在菌の女性器への侵入

第一に、人間の身体の中にもともと存在する菌が膣を通じて女性器に侵入し、炎症を起こすケースです。以下に示す菌は、健康な状態であったり、元々存在する臓器の中では炎症を起こしませんが、女性器に侵入すると炎症を起こします。女性器内に本来は存在しない菌が侵入することで、女性器は自らを守るためにそれを排除しようとします。それが「炎症」となるのです。

卵管炎を引き起こす常在菌の例

  • ブドウ球菌
  • 連鎖球菌
  • 大腸菌
  • 嫌気性菌

2. クラジミアや淋菌の侵入

第二に、クラミジア淋菌といった性感染症病原微生物の侵入によっても、卵管は炎症を起こします。性感染症病原微生物は性行為を通じて女性器に侵入します。第一と第二の原因菌は、腟や子宮の粘膜に沿って卵管へと上り感染するため「上行性感染」と呼ばれます。

3. 結核や虫垂炎が原因になることも

第三に、身体の別の部位で発生した感染が血流やリンパの流れに乗って拡がり、卵管に感染が及ぶというパターンです。このパターンで卵管炎を引き起こすのは、結核敗血症です。

また、虫垂炎など近接臓器の感染が卵管に波及し、卵管炎を引き起こすケースもあります。これらは上の臓器から卵管へと下り感染するため「下行性感染」と呼ばれます。

卵管炎にかかるとどうなってしまうの?症状は?

Pregnant Woman in Labour in Hospital

Pregnant Woman in Labour in Hospital

症状の重さは他の感染症と同じように、炎症の原因となった菌の毒性と患者の抵抗力によって異なってきます。症状の経過は他の炎症同様に、急性期亜急性期慢性期という経過を辿ります。

急性期から慢性期へ

急性期

急性期下腹部痛、腰痛、発熱、嘔吐がみられます。菌の毒性が強い場合これらの症状が強く現れますが、逆に菌の毒性が弱い場合はほとんど自覚症状がない場合もあります。

亜急性期

亜急性期(治療によって急性期の症状が鎮まった時期)に入ると、痛みは和らぎますが、圧痛や発熱が続くことがあります。

慢性期

慢性期になれば発熱は収まりますが、圧痛が残ります。これは主として炎症に伴う卵管の閉塞によるものです。過度の運動性交月経が痛みを誘発する場合がありますので、安心はできません。

慢性化に伴う問題

また卵管炎が慢性化すると卵管内で次のような症状が進行します。

慢性化に伴う問題

・腫瘤(皮膚のかたまり)
・膿瘍(膿のかたまり)
・水腫(液体のかたまり)
・卵管がん

卵管炎になると不妊を引き起こす?

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「交通」が妨げられる

卵管の炎症や炎症の慢性化にともなって腫瘤(卵管内に出来たかたまり)や膿瘍(卵管内に出来た膿のかたまり)が卵管に出来たり、卵管留水腫(卵管液が溜まった状態)が卵管内に出来てしまいます。こうした各種のかたまりが出来ることによって、卵管内の「交通」は妨げられてしまうことになります。

不妊の可能性が高まる

卵管は膣から入ってきた精子と卵巣から取り込まれた卵子が出会い、受精する場であると同時に、受精卵が子宮へと運ばれる通路です。卵管の通りが悪くなってしまうと、卵子や精子の通行を妨げることによって、受精の妨げになります。そのため、卵管炎は不妊の可能性を高める原因となりえます。

子宮外妊娠の可能性も高める

さらに、卵管の途中がふさがっていると、受精卵がうまく子宮まで運びきれず卵管の途中で着床してしまうことがあります。いわゆる卵管妊娠です。卵管妊娠は子宮外妊娠の中でも最も頻度が高く、破裂すると大出血を引き起こすので注意が必要な異常妊娠です。

卵管炎の治療方法は?

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抗生物質の投与

卵管炎は細菌感染により発生していますので、細菌感染を防ぐ抗生物質の投与によって治療されます。ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、嫌気性菌や淋菌、クラジミアなど、卵管炎を引き起こす細菌は多種多様ですし、毒性が強いか、弱いかによっても症状が異なってきます。症状に応じて最適だと思われる抗生物質が選択され、投与されます。

抗生物質で細菌を抑えることはできます。しかし、卵管炎が慢性化し、卵管が癒着したり、腫瘤膿瘍水腫が卵管に出来ると抗生物質では元に戻せません。これらの「かたまり」が出来てしまった場合は、手術による治療が必要になります。

手術による治療

卵管留腫瘤、膿瘍、膿瘍の場合は摘出手術を実施します。また、卵管の機能を再生した場合は、腹腔鏡などを用いた卵管開口術、卵管采形成術、癒着剥離術が同時に行われます。症状が強く、慢性化した卵管炎の場合、卵管や卵巣そのもの摘出手術が必要になることもあります。

不妊にならないためにも卵管の機能は残したいところですが、卵管は一度癒着が発生してしまうと、癒着が再発したり、卵管の閉鎖が起こりやすく、治りにくい部位でもあります

まとめ

卵管炎は慢性化すると不妊症につながら怖い病気です。感染が防げるなら防ぎたいところですが、結核や敗血症、虫垂炎などが卵管炎に発展するのはなかなか防ぎようがありません。しかし、その他のブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、嫌気性菌や淋菌、クラジミアなどが膣から侵入するのは心がけ次第で防げそうですね。

消毒や洗っていない手で無闇に陰部を触らない、信頼のおけない相手との性交渉の機会を持たない、信頼するパートナーであっても避妊具を付けて性交渉に臨むなどです。こうした心掛けによって、卵管炎とそれに付随する不妊症などのリスクを低減できそうです。自分の身体を守るのはまず自分です。最大限の注意を払いましょう。

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